真壁昭夫
第59回
2009年を迎えた世界経済は、予断を許さない状況が続くだろう。特に米国金融機関が抱える「不良資産」が表面化すれば、破綻が続出する可能性もある。「現代版ニューディール政策」を迅速に行なえるかがカギになる。

第58回
まるで伝染病のようなスピードで、世界の景気が“未体験ゾーン”の悪化水域に入りつつある。ついに始まった「大リストラ時代」はいったいいつ収束するのか? その先を見据えて日本企業が今からやるべきことは多い。

第57回
最近、「サドンデス倒産が増えている」という声をよく聞く。「サドンデス倒産」とは、健全に業務を行なっていると見られる企業が、あたかも「突然死」のように、ある日突然破綻してしまうことだ。全く予想していなかった事態が降って湧いたように起きるため、当該企業の取り引き先や債権者は戸惑い、どうしてよいかわからない状態に陥る。突然の倒産で影響を受けるのは、経営者や取り引き先ばかりではない。従業員にとっても正に“寝耳に水”であり、新しい就職先を探さなければならない状況に追い込まれる。では、そもそも企業が破綻に追い込まれ、業務を行うことができなくなる状況とは、いったいどういうことなのだろうか。

第56回
不況に喘ぎ、消費が見る見る落ち込み始めた米国は、このまま行けば「デフレスパイラル」に陥る懸念がある。バブル崩壊後の日本を苦しめた「忌まわしきデフレ」が、今度は世界規模で到来するかもしれないのだ。

第55回
“100年に一度の金融危機”とそれに続く景気後退は、今年夏場まで、わが国にとって“対岸の火事”と思っていた人が多かっただろう。ところが、9月15日のリーマン・ブラザーズ破綻をきっかけに、世界的な金融市場の混乱が加速し、実体経済の後退も一段と鮮明化した。そんな状況下、最近、わが国企業の収益状況が急速に悪化している。特に、米国を中心とする世界経済の後退によって、大手輸出企業の収益状況の悪化が顕著だ。その典型例が、2009年3月期の利益を1兆6000億円から6000億円へと大幅下方修正したトヨタ自動車である。

第54回
今年に入って、ヘッジファンドの収益状況が極端に落ち込んでいる。あるリサーチによると、今年1月から10月までのパフォーマンスは、マイナス15%程度と、惨憺たる状況だという。これまで高い収益をセールスポイントに成長を続けてきたヘッジファンドだが、ここへ来て高いリスクを採ったことが完全に裏目に出ている。サブプライム問題をきっかけにした“100年に1度の金融危機”のさなかで、多くのファンドが破綻の危機に直面したり、投資家からの解約要請によって身動きが取れない状態に陥っているのだ。金融市場を席巻したヘッジファンドは、まさに「総崩れ」の状況に追い込まれている。

第53回
足許で、自動車産業に関する経済ニュースが増えている。米国の「BIG3」の経営状況悪化懸念や、トヨタ自動車の2009年3月期業績見通しの大幅下方修正など、有力自動車会社が実体経済や株式市場に大きな影響を与えるようなニュースが、毎日のように流れている。このような背景にある要因は、言うまでもなく米国金融危機に端を発する世界的な傾向後退により、「自動車」に対する需要が落ち込んでいることだ。

第52回
世界的な金融危機が続くなか、これまで「痛手は軽微」と楽観論が主流だった日本の金融機関。だが足許を見れば、そんなことを言っていられる状況ではない。「日本版金融危機」再来の不安から目をそらしてはならない。

第51回
「100年に1度」と言われる株式の暴落や円高で、戦々恐々としている投資家は多いだろう。しかし、決してパニックに陥ってはいけない。商品の価格変動性に基づく「リスク」の正体を、今一度おさらいしてみよう。

第50回
日本の「失われた10年」に酷似している米国金融危機。今後はポジションを整理して借金返済に明け暮れる「ディレバレッジ」の嵐が金融業界を飲み込むだろう。米国は「モノ作り回帰」への発想の転換が迫られている。

第49回
米国発の金融市場混乱は欧州やアジアをはじめ世界中に拡大しており、一歩づつ世界金融恐慌の入り口に進んでいるように見える。世界的な金融不安の中で、わが国が向かうべき道を考える。

第48回
戦後最大の金融危機を迎えている米国で、政策当局にとって頭の痛い問題が発生している。それは、“一般庶民の逆襲”とも言うべき、政府による金融業界救済に対する人々の反感だ。その逆襲のために、政府が提案した金融安定化法案は、一時、米下院で予想外の否決となった。その後、同法案は修正のうえ何とか可決にこぎつけたものの、今後も、公的資金を使った金融機関の救済策には、一般庶民の反感が強い。特に、今年秋には下院議員選挙がある。選挙民の反感を考えると、それぞれの議員は安定化法案の重要性は十分に理解していても、どうしても、救済策に賛成票を投じにくくなる。

第47回
サブプライム惨禍が続く米国で、リーマンを破綻に追い込んでAIGを救済したポールソン財務長官の「手腕」に、にわかに注目が集まっている。緊急事態の収拾には成功したものの、「強い米国金融」に幕を引いた現実は重い。

第46回
これまで世界の“衛星地域”的な立ち位置で経済発展してきたEU(欧州連合)。しかし、世界経済全体に急ブレーキがかかるなか、従来のような“お月さま”効果は期待できない。今後は新たな舵取りが必要になる。

第45回
福田康夫首相の突然の辞任表明により、奇しくも日本と米国では、ほぼ同時期に新リーダーを決める選挙が行なわれることとなった。まるで時代が新たな救世主を欲するかのように、その行方には問題が山積している。

第44回
現在、小康状態を保っている米ドルだが、油断は禁物だ。世界各国の思惑で買い支えられているドル相場は日和見な動きを繰り返しており、年後半の米国景気いかんで、再び大きく売り込まれる可能性もある。

第43回
不動産バブル崩壊に伴う米国景気後退の悪影響が広がり、ここにきて「世界同時不動産不況」の様相を呈し始めた。早急な「後始末」が求められるが、その出口は想像以上に遠そうだ。

第42回
これまで世界経済を牽引してきた新興国の成長が、曲がり角に差しかかっている。景気失速懸念が世界中に蔓延するなか、高成長を続ける新興国の「生き残りの論理」とは?

第41回
株価下落や商品高騰に悩む米国では、金融市場における「規制強化」のトレンドが強まっている。しかしそれが長期化すれば、「暴力的な相場変調」さえ生み出しかねない危険がある。

第40回
中国や中東にロシアが急接近している。景気失速が続く米国に替わり、一大資源国であるロシアが世界経済の覇権を握れば、未曾有の「エネルギー帝国」誕生の可能性さえある。
