真壁昭夫
第66回
まさに“綱渡り”の様相を呈して来たGMやクライスラーの救済交渉。ここに来て、市場では急速に悲観論が広まり始めている。もしも米国の自動車産業が崩壊すれば、発生するのは直接的な悪影響ばかりではない。

第65回
現在の経済状況を「大不況」としか考えないのは、大きな誤りだ。実は、20世紀型経済モデルが崩壊して、21世紀型経済モデルが到来する“端境期”なのである。新たな構造変化を読めない経営者は、生き残れないだろう。

第64回
金融改革法案の準備を進めるオバマ米国新大統領だが、実現には苦労を伴いそうだ。その行く手には、ブッシュの「パッチワーク政策の残骸」や「バブルの酔いから醒めない金融経営者」などの問題が立ちはだかっている。

第63回
企業の決算が集中する3月から決算発表が行なわれる4~5月にかけて、市場では「日本経済危機説」が盛り上がる可能性が高い。負のマインドが景気を冷え込ませる“スパイラル”に飲み込まれないために、何をすべきか?

第62回
米国と世界の命運を担って登場したオバマ新大統領の“現代版ニューディール政策”には、当初から大きな期待がかかっている。だが、理想と現実のあいだには少なからずギャップがあることも、事実なのである。

第61回
最近、「景気は今年後半に底入れし、その後ゆるやかな回復基調に転じる」という説を唱える専門家が増えている。だが、それは本当だろうか? 世界情勢を分析すると、依然楽観視できない不安要素が多いのが現状だ。

第60回
金融危機不安が続き、株式などの金融市場全般で投資慎重派が急増する一方、為替市場には積極的に個人のカネが流入し、「二極化現象」が起きている。だが、為替投資はリスクが比類なく高いことを、忘れてはならない。

第59回
2009年を迎えた世界経済は、予断を許さない状況が続くだろう。特に米国金融機関が抱える「不良資産」が表面化すれば、破綻が続出する可能性もある。「現代版ニューディール政策」を迅速に行なえるかがカギになる。

第58回
まるで伝染病のようなスピードで、世界の景気が“未体験ゾーン”の悪化水域に入りつつある。ついに始まった「大リストラ時代」はいったいいつ収束するのか? その先を見据えて日本企業が今からやるべきことは多い。

第57回
最近、「サドンデス倒産が増えている」という声をよく聞く。「サドンデス倒産」とは、健全に業務を行なっていると見られる企業が、あたかも「突然死」のように、ある日突然破綻してしまうことだ。全く予想していなかった事態が降って湧いたように起きるため、当該企業の取り引き先や債権者は戸惑い、どうしてよいかわからない状態に陥る。突然の倒産で影響を受けるのは、経営者や取り引き先ばかりではない。従業員にとっても正に“寝耳に水”であり、新しい就職先を探さなければならない状況に追い込まれる。では、そもそも企業が破綻に追い込まれ、業務を行うことができなくなる状況とは、いったいどういうことなのだろうか。

第56回
不況に喘ぎ、消費が見る見る落ち込み始めた米国は、このまま行けば「デフレスパイラル」に陥る懸念がある。バブル崩壊後の日本を苦しめた「忌まわしきデフレ」が、今度は世界規模で到来するかもしれないのだ。

第55回
“100年に一度の金融危機”とそれに続く景気後退は、今年夏場まで、わが国にとって“対岸の火事”と思っていた人が多かっただろう。ところが、9月15日のリーマン・ブラザーズ破綻をきっかけに、世界的な金融市場の混乱が加速し、実体経済の後退も一段と鮮明化した。そんな状況下、最近、わが国企業の収益状況が急速に悪化している。特に、米国を中心とする世界経済の後退によって、大手輸出企業の収益状況の悪化が顕著だ。その典型例が、2009年3月期の利益を1兆6000億円から6000億円へと大幅下方修正したトヨタ自動車である。

第54回
今年に入って、ヘッジファンドの収益状況が極端に落ち込んでいる。あるリサーチによると、今年1月から10月までのパフォーマンスは、マイナス15%程度と、惨憺たる状況だという。これまで高い収益をセールスポイントに成長を続けてきたヘッジファンドだが、ここへ来て高いリスクを採ったことが完全に裏目に出ている。サブプライム問題をきっかけにした“100年に1度の金融危機”のさなかで、多くのファンドが破綻の危機に直面したり、投資家からの解約要請によって身動きが取れない状態に陥っているのだ。金融市場を席巻したヘッジファンドは、まさに「総崩れ」の状況に追い込まれている。

第53回
足許で、自動車産業に関する経済ニュースが増えている。米国の「BIG3」の経営状況悪化懸念や、トヨタ自動車の2009年3月期業績見通しの大幅下方修正など、有力自動車会社が実体経済や株式市場に大きな影響を与えるようなニュースが、毎日のように流れている。このような背景にある要因は、言うまでもなく米国金融危機に端を発する世界的な傾向後退により、「自動車」に対する需要が落ち込んでいることだ。

第52回
世界的な金融危機が続くなか、これまで「痛手は軽微」と楽観論が主流だった日本の金融機関。だが足許を見れば、そんなことを言っていられる状況ではない。「日本版金融危機」再来の不安から目をそらしてはならない。

第51回
「100年に1度」と言われる株式の暴落や円高で、戦々恐々としている投資家は多いだろう。しかし、決してパニックに陥ってはいけない。商品の価格変動性に基づく「リスク」の正体を、今一度おさらいしてみよう。

第50回
日本の「失われた10年」に酷似している米国金融危機。今後はポジションを整理して借金返済に明け暮れる「ディレバレッジ」の嵐が金融業界を飲み込むだろう。米国は「モノ作り回帰」への発想の転換が迫られている。

第49回
米国発の金融市場混乱は欧州やアジアをはじめ世界中に拡大しており、一歩づつ世界金融恐慌の入り口に進んでいるように見える。世界的な金融不安の中で、わが国が向かうべき道を考える。

第48回
戦後最大の金融危機を迎えている米国で、政策当局にとって頭の痛い問題が発生している。それは、“一般庶民の逆襲”とも言うべき、政府による金融業界救済に対する人々の反感だ。その逆襲のために、政府が提案した金融安定化法案は、一時、米下院で予想外の否決となった。その後、同法案は修正のうえ何とか可決にこぎつけたものの、今後も、公的資金を使った金融機関の救済策には、一般庶民の反感が強い。特に、今年秋には下院議員選挙がある。選挙民の反感を考えると、それぞれの議員は安定化法案の重要性は十分に理解していても、どうしても、救済策に賛成票を投じにくくなる。

第47回
サブプライム惨禍が続く米国で、リーマンを破綻に追い込んでAIGを救済したポールソン財務長官の「手腕」に、にわかに注目が集まっている。緊急事態の収拾には成功したものの、「強い米国金融」に幕を引いた現実は重い。
