G7会議の起源は、1975年、当時のディスカール・デスタン・フランス大統領が、米国、英国、西ドイツ、イタリア、わが国の5ヵ国の首脳を、ランブイエ宮殿に招いて首脳会議を行ったことだ。会議の席上、出席者によって、主催国を交代して定期的に首脳会議を行うことが了承された。翌年、当時の米国フォード大統領の要請によってカナダが加わり、G7の形式が出来上がった。G7会議では、各国の首脳陣に加えて蔵相・中央銀行総裁が集まって、経済・金融に関する議題を討議する場が設定されている。

 G7会議は、時間の経過と共に、その重要性は低下傾向を辿っているとの指摘もあり、一部の専門家は、「会議の重要性低減の法則を示す好事例」との辛口の評価もあった。

 しかし、今回のG7会議の様相は、今までとかなり違っている。昨年のサブプライム問題の表面化以降、世界的に金融システムに不安が発生しており、それを国際協調によって抑えることが至上命題になっているからだ。特に、民間の主要金融機関の首脳陣が10名程度招かれており、かなり突っ込んだ具体的な対応策協議が行われたと見られる。

最大の焦点は
金融危機回避策

 今回、G7会議の最大の焦点は、米国のサブプライム問題の表面化に続く、世界的な信用収縮や金融不安を抑える手立てを考えることだ。

 昨年のサブプライム問題に端を発した金融市場の問題は、依然、燻り続けている。米国の大手証券会社ベアー・スターンズの事実上の破綻に際して、米国のFRBは証券会社へ直接、資金供給が出来るシステムを導入し、取り敢えず、3月危機を何とか乗り切ることができた。

 しかし、それによって、金融機関が抱える危機的状況がすべて解決できたと見るのは尚早だ。

 問題の元凶である米国の住宅市場には下げ止まりの兆候が見えず、むしろ、足許では価格下落率が拡大しており、今後も住宅ローンの延滞率は上昇することが予想される。そうした状況を考えると、住宅ローン担保債券(RMBS)や債務担保債券(CDO)の価格下落傾向が、直ぐに沈静化することは考えにくい。当該債券を保有している投資家の損失額は、さらに拡大することは避けられないだろう。

 そうした状況に適切な対応策を講じないと、今後も、金融機関の破綻が発生する可能性がある。米国の政策当局には、そうした懸念を押さえ込むことに焦りの色がにじみ出ている。