
山崎 元
第108回
日本郵政社長人事は権力構造を示す象徴に過ぎないし、決まってしまったものは仕方がない。そこで今回は二つの提案をしたい。一つは195兆円の運用にまつまる話、もう一つはささやかながら日本郵政の今後のビジネスに対する提案だ。

第104回
先日、三菱UFJ投信が「eMAXIS」と名づけたインデックス・ファンドのシリーズを発表した。販売手数料がゼロで、信託報酬も低い。国内株式タイプが0.42%、先進国株式と新興国株式に連動するタイプが共に0.63%と、公募の投信としては安価だ。このカテゴリーでは、住信アセットマネジメントの「STAMシリーズ」の報酬水準が安かったが、これに対抗した価格設定だ。

第107回
国民の大多数は、菅直人副首相のデフレ宣言に違和感を持たなかっただろう。だが今回のデフレを巡る議論にはしばしば誤解がある。投資家が注目すべき点も含めて、デフレに関する筆者の見解をまとめてみた。

第106回
行政刷新会議が主宰する事業仕分けには問題点が多々あり、いわゆる突っ込み所満載の状況だが、筆者は絶望はしていない。事業仕分けのいい点・悪い点を洗い出して、これをより有効で役に立つものにする方法はないかを考えてみたい。

第103回
確定給付の企業年金は、縮小・廃止の方向に向かうのが妥当だ。近年、企業にとって人材の流動性がより重要になってきた。長期間勤続しないとメリットが得られない制度は従業員にとってアンフェアな面もある。しかし、確定給付の企業年金が縮小しても従業員の老後の生活に対する備えの必要性は減らない。そこで期待されるのが確定拠出年金だが、金融危機に伴い資産運用の環境が悪化したこともあって、確定拠出年金の加入者の多くが運用で損失を抱えるなど、「いい思い」をしている人が少ない。

第105回
鳩山首相を中心とする新政権には「嘘だ!」と言いたくなるような不始末が幾つも登場している。これらを不問に付してはいけないのは明らかだが、次の選挙は遠い。このままでは、劣化は自民党に近いレベルまで進みそうだ。

第102回
「PRESIDENT」の手帳特集を見て驚いた。あるメガバンクの支店の個人営業課の若手行員の手帳が公開されていた。手帳を通じて銀行員の仕事ぶりがわかる。

第104回
民主党政権発足から1月半が経過したが、同党幹事長である小沢一郎氏の周辺の権力構造もまた、これを取り除いたり修正したりすることが困難なものになるのではないかと思うに至った。象徴的な出来事は、日本郵政の首脳人事だった。

第101回
データ分析会社「UPRO」という会社が脱税で摘発された。なんといっても衝撃的なのは、160億円の儲けが日本の競馬の配当金によって稼ぎ出されたものだということだ。

第103回
JAL再建案の骨子の一つとして「企業年金の給付水準を引き下げる特別立法」の可能性が報じられている。だが、これは、はっきり言って、禁じ手だ。年金制度に対する不信感がいよいよ増すことになりかねない。

第100回
「日本経済新聞」に、従業員持ち株制度で信託の活用が広がっているという記事が載った。「株価が下落したときに機動的に株式を取得できる」ことがメリットだという。だが、有利なタイミングを判断するのは難しい。

第102回
足を引っ張る身内、敵意を募らせる官僚・・・。民主党マニフェストの「7割を一人で抱えている」といわれる長妻厚労相が、逆境に立たされている。このままでは、年金制度の抜本改革まで辿り着く前に足許をすくわれかねない。

第99回
証券業界で「ストラテジスト」とは、投資戦略全般について分析して、投資戦略を提案する専門家だ。証券会社の調査系の仕事としては、経済を分析するエコノミストや投資家に人気がある業界を担当するアナリストとともに会社を代表する花形のポジションの1つだった。今、文末を過去形で書いたが、現在でも重要なポジションであるには違いないのに、かつてほど注目されていないように思うのは、筆者の思い過ごしだろうか。

第101回
核廃絶を訴えたオバマ大統領のノーベル平和賞受賞の翌日、広島・長崎両市が夏季五輪開催地候補に名乗りを上げた。賛否はあろうが、筆者は賛成だ。今回の東京と違って、敗れても、日本全体にとってプラス面は大きい。

第98回
鳩山内閣の閣僚人事の最大ヒットは長妻昭氏の厚生労働大臣だ。下馬評の「年金問題担当相」というようなあいまいなポストでなく、厚生労働省の人事権を持つ大臣に就任したのは年金制度改革にとって非常にいいことだ。

第100回
民主党政権と霞ヶ関の関係は、敵対的M&Aに成功した株主・経営者と被買収企業の社員のそれに似ている。故に、統治側はつけ込まれぬよう意思決定ラインを一本化する必要がある。だが、今の民主党にはそれが出来ていない。

第97回
近年、ベーシックインカムという言葉が時々話題になる。すべての国民に働き・稼ぎ・資産額などをいっさい問わず一律に一定額を給付する制度のことだ。財源も案外心配ない。

第99回
大臣の発言は、時に株価や金利、為替レートの大きな変動材料になる。まして、新任ならば尚更だ。しかし、亀井氏を筆頭に、鳩山政権の面々のマーケット感覚には、これまでのところ首を傾げざるを得ない。

第96回
ジョージ・A・アカロフとロバート・J・シラーの二人による『アニマルスピリット』をおもしろく読んだ。特になるほどと思ったのは、人は対象や状況が「安心」であるか否かによって極端に行動が変わるという指摘だ。

第98回
「官僚が嫌う政治家ナンバーワン」との名誉ある呼び声の高い菅氏の処遇としては、本来は国家戦略担当相よりも官僚に対して人事権を持つ官庁の大臣が良かった。とまれ、こうなった今や、収まりの良いポストは東京都知事ではないか。
