
莫 邦富
第45回
東日本大震災そして福島原発事故は、言葉の壁があり、情報収集力の弱い外国人、特に在日中国人社会に一種のパニック状態を引き起こした。しかし、皆が逃げ出したわけではない。日本の皆さんとともに困難なときを乗り越えようと、被災地に赴く中国人のジャーナリストやボランティアもいる。

第44回
筆者のところに取材に来た海外のジャーナリストらは一様に、大震災発生後の日本社会の落ち着きぶりに感心している。中国では、こうした日本に学ぶべきだという報道が増えている。しかし一方で、西日本からの電力融通を困難にさせている明治以来の一国二制度的な電力インフラなどに対して、素朴な疑問も多く呈されている。

第43回
中国の旺盛な内需を牽引する存在といえば、若い世代であるのは間違いないが、ここにきて高齢者もまた注目の存在になりつつある。背景には、豊かにならぬうちに高齢化社会に突入したお国事情がある。

第42回
多くの場合、研修とは名ばかりで、劣悪な労働環境に身を投じることになろうとも、中国人にとって日本企業の研修生制度は魅力的な人生の選択肢だった。しかし、今や職は中国にある。筆者は、数年内に中国人研修生は日本から姿を消すのではないかと思う。

第41回
日本のパンダ人気は中国でも好意的に報じられている。しかし、帰化ではなく、いわば公務出張中の比力と仙女に日本名を募集するという考えはいかがなものか。国際化が進むこの時代、日本人はそのままの名前で受け入れるべきではないか。

第40回
「中国企業はなぜ日本の株を買いまくるのか」「中国資本はなぜ日本企業を狙うのか」。ここ1~2年、日本のメディアからこんな質問をよく投げかけられる。だが、この見方は果たして正しいのだろうか。

第39回
中国の労働者争奪戦が過熱の一途にある。例年は春節後に本格化する求人合戦が、今年は春節前から始まった。仕掛けたのは、電子機器受託生産(EMS)大手のフォックスコン。求人部隊を内陸部の駅にまで送り込み、里帰りした労働者の囲い込みを始めた。

第38回
春節(旧正月)商戦に沸く中国を訪れ、今の日本にはない“活気”にあらためて驚いた。今回は、その中でも特に筆者の印象に残った中国内陸部・四川省成都のイトーヨーカ堂の驚くべき光景をお伝えしよう。

第37回
1989年、北京のあるコンピュータ会社に、大学を卒業したての青年がアルバイトとして入った。当時その会社はまだ小さく、世界では無名の存在だった。青年はやがて正社員となり、12年後にCEOにのぼりつめた。その会社はいまや中国を代表する多国籍企業になった。

第36回
日本人の多くは、施設などのハードの面でこそ中国の急速な追い上げを受けているが、サービスなどのソフトの面では、日本がはるかに優れていると思っているかもしれない。しかし、その対比が錯覚に過ぎないことを、私は訪問先の山東省で思い知らされた。

第35回
中国の農村部と聞けば、「貧困」を連想する日本人は多いだろう。しかし、それは先入観というものだ。住民に金銀のボーナスを支給し住宅をプレゼントする村もあれば、全世帯の年収が富裕層基準をクリアしている村もある。知られざる中国の金持ち村の実情をお伝えしよう。

第34回
その昔、中国では競争を形容するときに、「大魚喫小魚(大きな魚が小さな魚を食う)」という言葉をよく使った。しかし、いまは規模よりもスピードだ。そこで生まれた表現が、「快魚喫慢魚(動きの速い魚がのろい魚を食う)」。この新潮流を象徴する事例を紹介しよう。

第33回
四国の愛媛県を訪れた私は、県の関係者の案内でタオル美術館に向かった。タオルと美術。関係がなさそうな二つのキーワードが奇妙に絡んでいるタオル美術館は、特に斜陽産業と呼ばれる伝統の繊維産業にとっては、さながらビジネスのヒントの宝庫のような存在だ。

第32回
数日前、香港のある有名な出版社で国際部長を務めている友人と食事をした。彼女は、国際版権ビジネスのノウハウの継承を怠り、ますます内向きになる日本の出版社の退化ぶりを嘆いていた。

第31回
数字には、国の文化や習慣などの要素が込められている。それを無視すると、そこに暮らす人々の感情を逆なでする恐れがある。中国でも同じだ。間抜けという表現にとられる「250」は使わないほうが良い。ところがある外資系メーカーがなんとその数字を使った車を売り出した。

尖閣諸島問題に限らず、近年の日中関係は政治面においてなにかと騒がしい。だが、ビジネス面での結び付きは急速に進んでいる。これからの中国ビジネスはどうなっていくのか?日中ビジネスのリアルな実態を知る知日派ジャーナリスト、莫邦富氏が語る。

第30回
予想していた事態がやはり起こった。10月の中国人訪日観光客数(推計値)は9ヵ月ぶりに前年実績を下回ったという。しかし、春節まではあと2ヵ月ある。観光業界が取るべき挽回策を考えてみた。

第29回
観光立国といいながら、首都・東京のビューポイントはショッピングエリアばかりというのが中国人に刷り込まれたイメージだ。御岳山のような自然の観光ポイントをなぜもっと積極的にアピールしないのか。中国人もまた自然を愛する国民である。

第28回
中国の地方政府に比べて、日本の地方自治体は地元の売り込みにあまり熱心でない印象を受けていたが、愛媛県八幡浜市は違った。八幡浜港で水揚げされるハモを使った「港弁」を開発。これは中国でも受けるかもしれない。

第27回
厳しい現実だが、少子高齢化が進み、老大国となった日本にとどまっていては企業も個人も未来の可能性は狭まる。大前研一氏と柳井氏の対談集『この国を出よ』は正しく日本企業や日本人の進むべき道を示している。
