2023.8.4
日銀のYCC柔軟化は妥当、緩和継続の「約束」は国民の信頼失うリスクも
日本銀行が、YCCの柔軟化に踏み切った。次の焦点はマイナス金利をいつ解除するか、である。現在のフォワード・ガイダンスに従えば、物価上昇率が2%を超える状態が相当程度続いてもマイナス金利を継続する可能性がある。しかし、それはインフレに苦…
大妻女子大学特任教授・京都大学公共政策大学院名誉フェロー
おきな・くにお/1974年東京大学経済学部卒業、1983年にシカゴ大学大学院でPh.D.取得(経済学)。日本銀行に長年勤務し、調査統計局企画調査課長、企画室(現企画局)参事、金融研究所長などの立場で主に政策関連の調査・研究に従事。退職後は京都大学公共政策大学院(2009年~2017年)など学界で調査・研究を続ける。主な著書に『期待と投機の経済分析―「バブル現象」と為替レート』(東洋経済新報社、日経・経済図書文化賞受賞)『経済の大転換と日本銀行』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『金利と経済』(ダイヤモンド社)、『移民とAIは日本を変えるか』(慶応義塾大学出版会)、『人の心に働きかける経済政策』(岩波新書)など。
2023.8.4
日本銀行が、YCCの柔軟化に踏み切った。次の焦点はマイナス金利をいつ解除するか、である。現在のフォワード・ガイダンスに従えば、物価上昇率が2%を超える状態が相当程度続いてもマイナス金利を継続する可能性がある。しかし、それはインフレに苦…
2023.4.10
日本銀行の新総裁に植田和男氏が就任し、新執行部がスタートした。日銀の金融政策変更に関心が集まる中で、国際的な金融不安に遭遇した例としては1987年のブラックマンデーがある。金融不安は日銀新執行部の政策にどんな影響を与えるのか。
2023.1.7
日銀がついに2022年12月20日野金融政策決定会合で、事実上の金利引き上げに踏み切った。これは金融政策正常化への一歩となるのか。元日本銀行金融研究所所長で、『金利と経済――高まるリスクと残された処方箋』などの著書もある翁邦雄氏による寄稿…
2023.1.6
日銀がついに2022年12月20日野金融政策決定会合で、事実上の金利引き上げに踏み切った。これは金融政策正常化への一歩となるのか。元日本銀行金融研究所所長で、『金利と経済――高まるリスクと残された処方箋』などの著書もある翁邦雄氏の寄稿を2…
2022.8.6
「円安がGDPを押し上げ、日本全体にプラスに働く」というのは本当か? 為替レートの変動によって、その受益者と被害者はどの程度入れ替わっているのだろうか。元日本銀行金融研究所所長で、『金利と経済――高まるリスクと残された処方箋』などの著…
2022.8.5
日銀の黒田東彦総裁が最近繰り返している「急速な円安の進行は、企業の経営計画に不確実性をもたらし好ましくない」というフレーズにはどのような含意があるのか。その真意について、元日本銀行金融研究所所長で、『金利と経済――高まるリスクと残…
2022.6.22
黒田日銀総裁が2013年に就任した際「グローバルスタンダード」と強調していた2%のインフレ目標。ようやくそれに達しようとしている今、国民の強い反発にさらされている。いま、国民の求めている「物価安定」とはなにかをもう一度考える必要がある…
2022.6.15
円安はどこまで進むのか? 元日本銀行金融研究所所長で、『金利と経済』などの著書もある翁邦雄氏に、政府・日銀は現在の急激な円安に対してどのような対処をしうるのか、円安はどこまで進みうるのか、などをまとめた緊急寄稿を寄せてもらった。
2020.3.6
新型コロナウィルスの感染拡大を受け、思い起こさせられるのは1970年代の狂乱物価である。上尾駅の騒乱、千里ニュータウンのトイレットペーパー・パニック、豊川信用金庫の取り付け騒ぎなどが起きた。事態の収束が見通せない中、日本経済全体へのイ…
2017.12.25
大規模な金融緩和策をとってきた米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)が“出口”に向かいはじめ、政策の軸足を量から金利に移してきた日本銀行の動向にも注目が集まるなか、書籍『金利と経済 高まるリスクと残された処方箋』が…
2017.3.29
ジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授が、3月14日の経済財政諮問会議で行ったプレゼンテーションが反響を呼んでいる。同教授の提案の狙いを考察し、その実現方法と効果(副作用)を検討してみよう。これは、『金利と経済』でも触れた、「…
2017.3.22
2016年1月末に日銀がマイナス金利政策導入を発表した際、銀行株が急落した。マイナス金利政策は、地銀などの経営や金融システムにどのような影響を与えるのか。長期金利上昇の可能性がささやかれるなか、あらためて検討してみる。
2017.3.6
安倍首相が「アベノミクスで大事なのは“やってる感”」と語ったそうだが、「やってる感」を醸成する政策だけでは、日本経済の隘路は解消しない。なにより人口減少・高齢化を迎えた日本の社会経済の中長期的な姿を踏まえて、健全な自然利子率の上げ…
2017.3.3
自然利子率の変化に対応して実質金利を誘導し、景気変動の振幅を小さくし安定化させる、という政策は景気安定化の観点からみて望ましい。しかし、自然利子率が趨勢的に低下する環境下では大きな問題をはらむ。その理由について、自然利子率や実質金…
2017.3.1
中央銀行の無責任さをアピールすることで期待インフレ率を上げる、という問題提起を最初に行ったのは、1998年のポール・クルーグマンによる「金融政策による期待への働きかけ」という政策提言であった。なぜ、それがうまくいかなかったのか。クルー…
2017.2.27
2016年11月15日付の『日本経済新聞』で、金融緩和主導のアベノミクスの理論的支柱とされ、財政規律毀損の観点からヘリコプターマネーに否定的な論陣を張っていた浜田宏一・内閣官房参与の発言が大きな反響を呼んだ…
2017.2.24
日銀が国債を全部買い上げても、統合政府の利払い負担が減るとは限らない。それなら、中央銀行当座預金を使わず、直接銀行券を使ったらどうか。銀行券ならいくら発行しても利払い負担は生じないのではないか。これは、ミルトン・フリードマンのヘリ…
2017.2.22
日銀が量的緩和で大量の国債を買い続けてきた結果、民間が保有している国債が激減している。だから、これから金利がかなり上がることがあっても、政府から民間への利払いは少なくて済み、財政危機は起きにくくなっている、という見方がある。果たし…
2017.2.20
日銀のいわゆる異次元緩和政策は、目新しい名称を量産し、マイナス金利政策を経て、イールドカーブ・コントロールに到達した。これらの政策はいったいどのようなもので、日本経済にどのような効果と副作用をもたらすのか。さらにトランプの登場でい…
2017.2.17
トランプの登場により、日本の金融政策を取り巻く状況は大きく変わった。トランプノミクス期待で米国金利が急騰し円安が急激に進行する一方、大統領当選後もトランプが日本や中国の通貨安誘導を批判し続けたからだ。そっとしておきたい円安が、対米…
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