とどまることを知らないパソナグループの多角化。南部靖之代表は、5年後の2015年に人材派遣の売り上げが全体の半分になる計画を描いているという(「週刊ダイヤモンド」編集部 小出康成)。

パソナグループ代表 南部靖之
Photo by Toshiaki Usami

 34年前に人材派遣会社、テンポラリーセンターを設立したのは、結婚や出産で家庭に入った女性が、再び働こうと思っても就業機会がないのを解決しようと考えたのがきっかけだった。

 そのときから、社会の問題を解決すれば、雇用が生まれるということが「社会変革企業」「雇用創造企業」という企業理念になった。だから人材派遣はツールであって、目的ではない。

 1993年にテンポラリーセンターという派遣をイメージさせる社名をパソナに変更した時点で、当社のコアコンピタンス(核となる競争力)は人材派遣ではなくなっている。振り返ってみると、福利厚生のアウトソーシングから農業まで、雇用や働き方に関する変革がビジネスの中心を占めてきた。

 当社のビジネスは社会貢献、文化創造、社会福祉の三つに分けられる。これは創業時から明確にし、言い続けてきたことでもある。

 社会福祉事業を例にとれば、赤字では長続きしない。利益が出る仕組みをつくり、雇用を生む仕組みを維持してこそ、持続できる。