編著者3人のうち、國分俊史氏は同研究所所長。デロイトトーマツコンサルティングの執行役員でパシフィックフォーラム戦略国際問題研究所のシニアフェローでもある。福田峰之氏と角南篤氏は、同研究所客員教授。福田氏は衆議院議員で、自由民主党知的財産戦略調査会常任幹事も務めている。角南氏は政策研究大学院大学副学長で、科学技術・イノベーション政策担当の内閣府参与である。

 本書の目的は「ルールメイキング戦略(ルール形成戦略)」の日本での必要性を問い、今後の体系化に向けた出発点を提示することだ。政・産・官・学の立場を包含する広い視点を提供するために、編著者3人を含む9人の多様なバックグラウンドの専門家たちが分担して執筆している。

 新たなルールをつくるのは簡単ではない。既存のルールを変えることで既得権益を損なえば、当事者からたいへんな抵抗にあうだろう。

 場合によっては自国の政府を動かして他国の政府や業界団体に働きかけることさえも必要になる。ルール形成には、戦略立案力と強力な推進体制が不可欠なのだ。

 本書では、このようなルールメイキング戦略の重要性がわかりやすく示されている。さらに、企業によるルールメイキング戦略の国際展開の必要性と、そのための方法論も詳しく解説されている。それは、安全保障経済政策や、科学技術外交なども視野に入れた上で、企業が政府を動かしながら行うものだ。

ルールメイキングで市場から締め出されるハイブリッド車

 本書は、まず日本では「ルールは政府がつくるもの」という「受け身」の意識が強いことを指摘。そのため、上からのルール変更に対する迅速な適応が最優先される傾向にある。つまり、ルール自体の構想段階から能動的に参画する意識が欠落しているというのだ。

 一方、欧米企業は、企業と政府が同じ土俵で、あるべきルールを議論するべきであるという認識で動いている。そしてそのことが、日本企業が成長速度において欧米企業に差をつけられている原因だとする。

 こうした日本企業と欧米企業の差が、国際競争に重大な影響を与えることもある。

 その事例の一つとして本書で紹介されているのは、米国カリフォルニア州の「ZEV(Zero Emission Vehicle:無公害車)規制」をめぐる問題だ。