社会貢献の名利と実利
社会に貢献する会社は、社会から認められ、評価される。社会から認められ、評価される会社は、会社とその商品・サービスに「一味違う」という差別化を伴った価値のある会社である。アメリカの例だが、消費者は「この会社は社会貢献に熱心である」と認めた会社の製品には、5%ぐらいまでは高い価格(プレミアム・プライス)を払う気持ちがあるという。
会社や商品にブランド価値がある。いつでも替えることのできるコモディティー(最寄り品)ではない。
ブランド化した商品・サービスは、安売りの波に飲み込まれることはない。
また、ブランド力の高い会社には、優秀な人材(まだ財産になってはいないが、将来、期待できる素材)が採用を希望して集まってくる。社会から認められ、評価される会社は人手不足の世の中でも求人に困ることがない。
また、社会から認められ、評価される会社は、そこに働く社員、関係先などのステークホルダーにとっての誇りとなる。誇りを持って働く人の強さについては、すでに本書でも何度か述べたとおりである。
会社のブランド価値が高まるにつれ、商品・サービスに対する社会からの信頼は徐々に高まる。顧客満足・社会満足を果たすためには、高まる顧客期待に商品・サービス品質が応えなければ追いつくことはできない。期待に応えようとすることで、商品・サービス品質はさらに高まることになる。商品・サービス品質が上がり、顧客と社会が満足すれば、結果としては会社の業績はさらに一段高くなる。
コンスタントに「健全な追いかけゲーム」というサイクルが発生するのである。
社会貢献には、こうしたプラスの連鎖がある。