めちゃくちゃ仕事できる人が磨いている「たった3文字の能力」とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

めちゃくちゃ仕事できる人が磨いている「たった3文字の能力」とは?Photo: Adobe Stock

「独自性」を身につけよう

 めちゃくちゃ仕事ができる人は、ある能力を磨いています。

 それは、「独自性」です。

 独自性とは、その名の通り「他に類を見ない性質」のことを指します。

 ビジネスでは、差別化要因、競争優位性、新規性、付加価値、コアコンピタンスなど、さまざまな呼び方がされます。

 要するに、「人を惹きつける魅力の源泉」となるアイディアや製品、コンテンツ、キャラクターを総称したものです。

「もう世の中にアイディアなんて出尽くしているんだから、今の時代に独自性のあるものなんて作れないよ」

 そう嘆く人もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、ここで言う独自性は、必ずしも世界初である必要はありません。
 現在の人々が「スタンダード」と感じる枠組みから少し外れたものであれば、独自性は十分に発生し得ます

 それが過去に存在したものであっても、時代や場所が異なれば新しいものとして感じられることもあります。

 別の要素と掛け合わせれば、新たな価値として受け取ってもらえるでしょう

独自性は無限に作れる

 つまり、独自性はその時代の人々が慣れ親しんだ概念を「少しずらすこと」で無限に生み出すことが可能なのです。

 時代によって「スタンダード」の枠が変わります。
 長く使い古されたアイディアであっても、新しいものとして再登場することがあるのです。

 たとえば、中高年にとっては「インスタントカメラ(例:写ルンです)」は、スマートフォンの登場で使われなくなった過去の製品かもしれません。

 しかし、スマートフォンに慣れた若者にとっては、このカメラが一周回って新鮮なものとして受け入れられています。

 ファッションや音楽も同様で、20年前に流行したものが現代風にアレンジされてリバイバルすることも少なくありません。

 アイディアは生まれ続けます。

 しかし、その時代の人々が共有する「常識」は限られた範囲だけです
 常識が無限に拡張されるわけではなく、常にその範囲は有限なのです。

 そのため、アイディアにネタ切れが起きることがあっても、独自性は常に新しく発生し続けるという不思議な現象が生まれます

 言い換えれば、独自性(ユニークネス)とは、その時代の人々がなんとなく共有している「常識」を見極めた上で、その「常識」と「非常識」の境界線上にアイディアを配置する行為とも言えるでしょう。

 常識的すぎると平凡で退屈に感じられ、非常識すぎると受け入れられにくくなるため、ちょうどよいバランスが求められます。

「新しさ」と「懐かしさ」を組み合わせる

 独自性を発揮する手法は無数にあります。

■ アイディア同士を組み合わせる
■ 特定のグループに限定する
■ 形や場所を変える
■ 過去のものを復活させる 
……

 たとえば、大ヒットした映画『君の名は。』を思い出してください。
 多くの人にとって、「懐かしくも新しい」と感じられたと思います。

 過去にも、「体が入れ替わる」「タイムリープする」というテーマは存在していました。

 しかし、「その2つを同時に組み合わせる」と、他にはないユニークな作品が生まれます。

 また、映像や音楽の美しさなど、従来とは異なる要素を強調することで、新しい世代の子どもには新鮮に捉えられ、大人には懐かしさが共存するという、多層的な作品となりました。

 独自性を生み出す過程では、「才能」や「努力」の比重が高くなります。

 しかし、どれだけ才能や努力があっても、時代にちょうど合った「適度な斬新さ」がなければ独自性は生まれません

 逆に、素人の思いつきがたまたま時代に合致し、独自性として受け入れられることもあります。

 先ほども述べたように、独自性を生み出すプロセスというのは、その時代の常識と非常識のちょうど境界線上にアイディアを配置する行為なのです。

 そのプロセスでは、才能と努力、そして少しの運が求められます。

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。