前例をつくることで道が拓ける
【落合】その声を政治に届けたいですよね。やっぱり政治が変わらないと。私は自分が介護する前から言ってるんだけど、国会の夏休みにあたる時期、議員は海外に視察に行くのもいいですが、どこかの介護施設に行って泊まりこんで学んでいただきたい。
【橋中】まず、介護の現場を知ってほしいですよね。
【落合】母を介護していたころ、病院を転々とせざるを得ない人をたくさん見てきました。一方で、当時の総理大臣は「母は同じ病院に何年もお世話になっています」と。
【橋中】私たちが前例をつくっていくということですよね。つらかった経験を伝えて。
【落合】介護にしろ、出産にしろ、これから直面する人たちがいる。社会が変わらないといけない。「女性が輝く社会を推進する」とおっしゃっているけど、これでは、輝けないよ。みんなが疲れ切って倒れていく。ほんの一握りの人たちは、特権にあやかれるかもしれないけど、全体が変わっていかなくては。
【橋中】私が、1つ可能性を感じているのが「わかちあう」こと。
【落合】そう。
【橋中】介護は、お互いにわかちあうしかないと思うんですよ。でも、まだうまくいっていない。「自己責任」という考え方が教育を通してすりこまれているから、人に迷惑をかけちゃいけないと思ってしまう。「介護休暇を取りたい」と職場で言うことが、ほんとうは社会の役に立つはずなんです。
【落合】まず、周囲を変え、会社を変え、そうして会社の外側を変える。
【橋中】声をあげていかなければ、なにも変わらない。