退陣時期よりも遥かに重要な課題は、この未曽有の時期に、この国の命運を誰に託すのかということではないのだろうか。
「若い世代」とは、
40代以下のことではないか
党代議士会で、菅首相はまた(第2の論点として)「若い世代の皆さんに責任を引き継いでもらいたい」と言い切っている。メディアはあまり取り上げないが、この発言の方が、この国の将来のためには遥かに重要だと考える。男性の年長者が輪番で政治リーダーを務めるこの国の病弊については、前回のこのコラムで詳述したので、ここでは繰り返さない。筆者は、国会の審議で、なぜ誰もこの発言をしつこく追及しないのか、不思議でならない。若い世代とは、具体的にどの世代のことを想定して発言したのか、誰も知りたくはないのだろうか。
筆者は63歳だが、若い世代と言えば反射的に40代もしくは30代を想定してしまう。60代の首相が「若い世代」と発言する時、常識的に考えれば、それはおそらく40代もしくは30代を指してそう発言したのではないだろうか。そうだとすれば、民主党の次期の代表は、40代以下(50歳未満)の若い世代の中から手を上げさせて選ぶべきである。
党代議士会での首相発言を、結果的ではあれ民主党の代議士のほとんど全員が諒としたのである。その中には、次期のリーダーを若い世代から選ぶという事項も当然入っていたと考えるのが自然ではないだろうか。菅首相には「発言した通り、次期代表は、若い世代、すなわち40代以下の代議士の中から選んで欲しい」と言い切って欲しい。そうすれば、これまでの汚名は相当程度挽回できるのではないか。けだし、古今東西、リーダーの最大の責務は後継者を選ぶことに尽きるからである。
首相選びは、固有名詞ではなく
要件を定めることからはじめる
後継首相の話をすれば、すぐに固有名詞の世界に話が飛んでしまう。岡田幹事長、野田財務相、枝野官房長官等々はどうかという話になりがちであるが、このように最初から固有名詞で考える発想は果たして正しいのだろうか。それよりも、後継者の要件を定めることの方が大切ではないか。
要は、個々の関取の論評を行う前に、戦いの土俵をまず決めることが大切だと考える。その戦いの土俵を、菅首相は「若い世代に」と言い切り、民主党もそれを了承したのではないか。そうであれば、若い世代を例えば40歳代以下等としっかりと定義した上で、土俵に上がる資格のある人の中から意欲のある人に手を上げて貰って政見を披露して貰い、その政見を吟味した上で次の民主党代表を決めることが本筋だと考える。