東芝の二の舞は避けたい!
取締役会の機能不全を防ぐには

東芝の二の舞を避けるために取締役会で取り組むべきこと東芝や、かつてのオリンパスのケースのように、幹部が不正を見逃したり、正せないことで、企業存続の危機にまで発展してしまう会社が少なくない。なぜ繰り返し、こうした事態が起きてしまうのだろうか?

 先日、コンサルタントをしている友人に、「取締役会をもっとしっかり機能させるにはどうしたらいいと思う?」と尋ねられた。

 東芝の例に代表されるように、近年の企業の不祥事は「幹部が不正を見逃していた」というものが多い。オリンパスの不正問題の際には、外国人取締役によって不正が明るみに出た。裏を返せば「外様」の取締役が告発しなければ、問題はさらに長く隠ぺいされていただろう。

 友人によると、その危機意識はいま多くの企業に広がっているという。取締役会のガバナンスを強化し、効率的かつ健全な経営を望む動きが強まっている。

 だが、「ではどうしたらいいのか」という案は、なかなか出て来ない。取締役会の顔ぶれは基本的にあまり変わらないし、変わっても入ってくるのは既知の人物であることが多い。社外取締役を入れても、その基準は「取締役会にとって『厄介者』にならない」ということであり、株主や社会へのコンプライアンスのための「アリバイ」として招くことも多いのが実情だ。

 そういう状況で、取締役会で議論を活発にし、創造的な案を出せるようにシフトしていくのは簡単な問題ではない。

 またこれは取締役会に限った話ではない。日本の企業では、会議が実質的な議論ではなく、規定の考えを承認するためだけのものであることが多い。だが、働き方改革が進められて、仕事の効率化がいままで以上に求められるようになれば、そのような会議は無駄となり、会議を開くならば「実質的、効率的、創造的な議論」が求められる。

 しかし、それは「ではそうしましょう」と始められるものではない。では、どうするべきか。

筆者はまず、会議を非生産的にしてしまう「罠」について、皆が知ることが重要だと考える。その罠にはいくつかあるが、中でも有名なのは「集団思考」(group think)と呼ばれるものだ。

 この概念は、もともとウィリアム・ホワイトというビジネスパーソンによって提唱されたが、これを学問的な研究対象としたのが米国の心理学者、アーヴィング・ジャニスである。彼は、歴史に残る様々な集団意思決定の「失敗」ケースを分析した。特に有名なのは、米国のケネディ政権初期における、「ピッグズ湾侵攻作戦」の失敗である。