ナチスドイツからベトナム戦争まで
誤った意思決定はこうして起こる

 ジャニスは集団思考の典型的症状を、次の3つのタイプに分類している。

タイプ1:集団の力と正しさを過剰に見積もる

・「失敗するわけがない」という思い込みや過剰な楽観主義が支配的となり、極端なリスクを負いやすくなる
・その集団の持つ価値観を無批判的に受け入れて、決定がもたらす、より大きな目で見た場合の倫理的、道徳的結果を考慮しなくなる

タイプ2:閉鎖的な心理傾向

・不都合な情報や警告を割り引いて解釈した上に、それらに対する言い訳を集団でつくり上げてしまう
・敵対する相手を、「悪人である」「強くない」「賢くない」などとステレオタイプ化して見る

タイプ3:同調圧力

・集団の空気を読むように、自己検閲が行われる
・多数派の意見に少数派が同調しやすくなる
・異議を唱える者に対して圧力がかかる
・不都合な情報から集団を守る、監視人を自認する者が現れる

 自分の所属する組織の会議について、前述の点を考えてみてほしい。必ずある程度は当てはまるものがあるだろう。多くの組織での意思決定は、このような集団思考に陥いる可能性を持っているのだ。

 特に、異議を唱えるものに圧力がかけられたり、(責任回避のために)不都合な情報を隠したりするのは、日本の会議ではよく見られるだろう。上記の項目ひとつひとつが、会議の生産性を下げ、創造性を奪うのである。

 では、集団思考を避けるためにはどうすべきだろうか。ジャニスの言説をまとめると以下のようになる。

・リーダーが批判的な評価者としての役割を取り、メンバーが気兼ねなく反対意見や疑問を表明できるようにする
・リーダーが最初から自分の好みや希望を述べて、偏った立場にあることを明らかにしてはいけない
・複数のグループに同じ問題について決定をさせ、比較する
・集団内に皆とは異なった意見を持つ役割の人を置く
・小さなグループに分かれて議論をする