このメイド トゥ メジャーのスーツは、着丈を適度な長さに保つことで、あえて、全体的にエレガントな雰囲気を残している。


 セカンドフィッティングでの微調整を加え、いよいよ夏野剛さんのメイド トゥ メジャー(MTM)が完成した。

 少しおさらいをすると、夏野さんのスーツはグレーの表地にブラウンの裏地というコンビネーション。表の生地は、ウールベースにモヘアが16%入ったもので、裏地にはジョルジオ・アルマーニのサインが入っている。そして、水牛の2ボタン。サイドベンツである。

袖の長さは、少しシャツが出る程度に。ここは夏野さんの好みで。もちろん、袖は本切羽本開きである。


 セカンドフィッティングの段階で、ほぼピッタリの状態に仕上がっていたスーツの課題は、パンツがやや太く感じたこと。それで裾幅を約1cm詰めるということにした。そして、バックライズといわれる後ろの股上に少し余りがあるので、これを取って、ゆるみがない状態にすることであった。

 まず、パンツの太さだが、これは夏野さんも満足した太さに仕上がってきた。脹脛の筋肉が発達していることもあり、あまり細くしすぎると乗っかる感じになる、という懸念も見事に解消されたようだ。“膝のあたりで消すイメージ”は、技術的には解説できないが、しっかり共有され、活かされていた。

細身のシルエットが好みの夏野さんは、シングル18.5㎝の裾幅をさらに1cm詰めた。しかし、生地が引っかかることもなく快適な履き心地は保ったままだ。


 さらにもうひとつ、バックライズの余りもまったくなくなっており、パンツのバックスタイルも美しく完成していた。

 完成品を着てみた夏野さんは、改めてそのフィット感に驚いたようである。

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