コラム:買収によってコスト削減できるか

買収候補の経営資源によって、自社のビジネスモデルがうまく機能するようになり、そのおかげでコストも削減される──。そうなるかどうかの予測は、自社の経営資源と業務プロセスとの互換性に関する評価次第である。

経営資源

●被買収企業の製品は、自社の製品カタログに載せても違和感なく、また混乱を招いたりしないか。

●被買収企業の製品を利用している顧客は、自社の製品を購入するだろうか。逆に、自社の顧客が被買収企業の製品を購入するか。

●被買収企業の工場が生産している製品は、最小限の調整で自社のサプライチェーンや流通業者に流すことが可能か。

●自社の営業部門には、被買収企業の製品を売り込むスキルがあるか。また、そのための営業に意欲を燃やしているか。

業務プロセス

●被買収企業の製品は、自社の営業サイクルに従って販売できるか。

●自社の従業員は、被買収企業の顧客にも難なくサービスを提供できるか。

●被買収企業の製品は、自社工場で生産できるか。逆に、自社製品を被買収企業の工場で生産できるか。

●被買収企業の製品の品質は、自社の調達システム、ITシステム、品質管理システムの運用ルールによって向上できるか。

被買収企業の経営資源が自社の経営資源や業務プロセスとの互換性が高い場合、買収によって、利益方程式の資源回転率、すなわち資産と固定費の回転率、要するに稼働率の向上が十分見込まれる。(本文へ戻る)