コラム:コングロマリット化に関する一私見

 企業買収のカテゴリーのなかで、本稿で触れていないものがある。それは、親会社が事業ポートフォリオを構築もしくは最適化するための買収である。そして、この種の買収で最も一般的なのがプライベート・エクイティ会社によるLBO(被買収企業の資産やキャッシュフローを担保に買収資金を調達し、買収後に被買収企業の資産を売却したり、事業を改善したりすることでキャッシュフローを増やして負債を返済していく手法)である。

 LBOを試みる企業は、多くの場合、業務改善を通じてポートフォリオ内の企業の価値を高めようとするが、買収企業(LBOを試みる企業)の実際の価値の大半は、LBOそのものとそれに伴う節税効果によって生み出される。これらの取引は、戦略的買収というより株式の購入に近い。

 そのほか、バークシャー・ハザウエイのウォーレン・バフェットやリューカディア・ナショナルのイアン・カミングなどの投資家が企業を買収するのも、同様の理由である。ただし、彼らがLBOを利用することは稀である。

 大手コングロマリットによる買収は、既存事業との戦略上の適合性よりも、親会社のポートフォリオの多様化を目的としていることがたまにある。1986年のゼネラル・エレクトリックによるNBCの買収(親会社のRCAが買収されたことによる)は、間違いなくこのカテゴリーに属する。

 我々は、こうした買収の意義について疑問を呈するわけではないが、その余地は十分あると思われる。またこれは、ビジネスモデルに直接影響を及ぼし、改革をもたらすような類のものではない。(本文へ戻る)