悲劇の1999年
ひとりの母親として
五黄としての不屈の精神
安室奈美恵の人生の転機。それは、いわずもがな、自身の母親が殺害された事件(1999年)でしょう。
当時は、連日のようにメディアに取り上げられました。
もちろん、当時の彼女にとっては、我々の想像を超える苦しみや葛藤があったでしょう。
このような事件があったからには、歌手としての仕事を続けようとは思わないのが普通かもしれません。
しかし、彼女は違いました。
様々な紆余曲折があったにしろ、「自分自身もひとりの母親として」「息子のため」にと不屈の精神で立ち上がり、前へと進んでいきました。
これも、「ガイアの五黄」としての「忍耐力を持って最後までやり抜く」という姿勢の表れなのでしょう。
母親を亡くした3年後には、夫だったSAM(元TRF)との離婚もありましたが、それでも前を向き、シングルマザーとして子どもを支え続けました。
こうした精神力の強さは、まさに五黄ならではのもの。その強さには脱帽です。
「安室も終わったね……」
ハートに芽生えた
プロ意識の原動力
歌手としてのプロ意識の高さ。これも安室奈美恵の人気の要因でしょう。
私の知人の安室ファンいわく、安室奈美恵のライブはとことん歌い続けるスタイルで、よくミュージシャンのライブにあるMCはほとんどない、というのです。
これも、方向性が間違っていない限り、自分のスタイルや信念を貫き続ける「ガイアの五黄」らしいプロ意識の一面だと感心しましたが、さらに面白かったのが、彼女のプロ意識の原動力です。
この原動力も、本当に「ガイアの五黄」らしいのです。
彼女が小室哲哉氏の手を離れた2000年代に入ると、強力なライバルたちが現れ始めました。宇多田ヒカルや浜崎あゆみといった、新たな歌姫たちです。
強敵の登場により、世間からは「安室も終わったね……」と言われることも多くなった彼女。こうなると、「私も、陰りか……」と細々やっていこうとするのが、一般的な心情かもしれません。
けれども、ここはさすがの「ガイアの五黄」の安室奈美恵。
考え方はまるで異なりました。
「安室も終わったね」。このひと言が、彼女のハートに火をつけたのです。
「ガイアの五黄」は反骨精神も強く、ときに、その反骨精神こそが新たな原動力につながります。
さらに、安室奈美恵はここにきて、「ガイアの五黄」の最大の本領を発揮しました。
思い出してください。
「ガイアの五黄」の最大の特徴は何だったでしょうか?
そう、『破壊と創造』です。
安室奈美恵はこれまでの路線を捨て(破壊)、自分の新しいジャンルとして「R&B」アーティストとしての地位を築いたのです。
最初は戸惑うファンもいたものの、「ガイアの五黄」として、信念を曲げずに継続していくことで、新規のファンも獲得し、今日の安室奈美恵を完成させたのです。
第一線で輝かしい活躍を続けて20年以上たった今日。その容姿・気概・歌やパフォーマンスの実力は決して衰えていません。
引退の話題で、その人気が再注目されていますが、その人気の裏には「ガイアの五黄」としての人間性が大きく関わっているのです。