ビジネスシーンでの会食、そしてプライベートでリラックスするはずの食事の時間でさえ胃の調子が気になって、話題に集中できなかったり、食事をおいしく楽しめなかったりしていないだろうか。そんな胃に不快な症状が続いたら機能性ディスペプシアかもしれない。

胃をいたわることが人生の幸せを作る

イラスト=ソリマチアキラ

胃の病気、機能性ディスペプシアを知る

 健康診断は、いつ受けただろうか? Six読者の皆さんは、健康診断を毎年受け、体のメンテナンスには気を配っている人が多いことだろう。

 けれども最近、どうも量が食べられなくなり、胃もたれやみぞおちが痛くなることが続いていている…これは年齢のせいなのだろうか? それとも、何か病気か!?と思い悩む人もいるのでは?

「胃酸や消化酵素であるペプシンの量などは、ピロリ菌がいなければ、加齢によっては落ちないのですが、胃の機能をみると、その働きは低下することがあります。胃の働きは、まず食物を食べたときに、胃の中に一旦溜める機能があります。胃が膨らめば膨らむほどたくさん食べられるのですが、年齢とともに、その収縮する機能が低下していく人がほとんどで、量が食べられなくなります。また食欲は、胃から分泌されるグレリンというホルモンが少なくなると低下します」川崎医科大学総合医療センターの春間賢先生はこう話す(以下同)。

 年齢のせいはいたしかたないが、それを差し引いても、胃の不快な症状が続く場合はどうなのだろう。日常生活も活動的になれず、人と食事をするのも億劫になってしまう。

「内視鏡などの検査をしても異常が見つからないのに慢性的な症状が続く状態は、機能性ディスペプシア(FD:Functional Dyspepsia)と診断します。胃や十二指腸が本来の働きをしていない、食べたものや胃酸などの刺激に知覚過敏になっているのが原因です。胃にピロリ菌がいる場合は、まずピロリ菌の治療をします。その後、症状によって、胃もたれの場合は、胃を活発に動かし食欲が出るような薬、胃の痛みがある場合は、胃酸を抑える薬など処方していきます。また表面的には炎症がなくても、組織をみると炎症があり、それが食事での脂肪や酸の刺激で痛みをおこしていることもあります」

 もともとは、神経性胃炎、胃下垂などといわれていたものだ。胃の不調が気になりさらに悪化することもあるので、まずは受診が大切。その時に注意したいのは、胃と食道を混同して症状を訴えてしまうこと。

胃をいたわることが人生の幸せを作る

「胸やけは、食道で炎症がおこっている逆流性食道炎です。今までの患者さんをみると、50代前後の人は、逆流性食道炎の人の割合も多いのです」

 みぞおちから上がむかむかするのは、食道の炎症だ。症状を伝えるときは、具体的な場所を示すといいだろう。

 まず医療機関を受診することだが、どうしても、病院に行く時間がない人は、まず市販薬で少し様子をみるといい。

「もし、1〜2週間、胃腸薬を飲んでも効果がなければ、必ず医療機関に受診してください。潰瘍や胃がんがあっても症状がよくなることがありますので、時間のある時に、必ず胃がん検診を受けるか、医療機関を受診してください」