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2017年は有機ELテレビの取材に飛び回った筆者

 2017年もいろいろな新製品が登場した。年末恒例のオーディオ&ビジュアルの1年を振り返り、来年の動向を予測する企画。まずは薄型テレビから振り返っていこう。

有機ELにはじまり、8Kテレビも登場
5万円4K液晶テレビがもてはやされた薄型テレビ

 薄型テレビといえば、今年は有機ELテレビの登場が一大トピックだった。

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東芝の「X910」
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ソニー「A1」
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パナソニック「EZ1000」
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LG「W7P」

 有機ELテレビ自体は2015年にLGエレクトロニクスが初めて国内発売したが、2017年は日本のメーカーも続々と参入。東芝の「X910」シリーズ、ソニーの「A1」シリーズ、パナソニックの「EZ950」&「EZ1000」、そしてLGエレクトロニクスエレクトロニクスは「W7P」シリーズを頂点に、「C7P」「B7P」と豊富なラインナップを展開した。

 自発光パネルならではの広視野角と高コントラストを武器に、4Kテレビの高級モデルとして注目を集めた。

 かたや主流の液晶テレビも、高音質スピーカーを内蔵した音のいいテレビが登場するなど、ユニークなモデルも登場した。

 特に40V型以上の大画面テレビはほとんどが4Kテレビという状態になり、テレビの買い換え需要もあって4Kテレビの普及が進んできている。

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グリーンハウスが4万9800円で発売した4Kテレビ「GH-TV50AB-BK」。発売後、即完売した

 そして夏以降は50V型前後で5万円台という、超低価格4Kテレビが登場。ドン・キホーテを皮切りに、さまざまな量販店が独自ブランドの製品を展開しており、発売後、即品切れという状態が続いている。

 それらのほとんどは同じような仕様で、HDRには非対応ではあるが、4Kテレビの普及という点では一役買っている。

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シャープ「LC-70X500」

 もうひとつ、シャープから世界初の8Kテレビ「LC-70X500」も登場した。7680×4320画素の8K解像度パネルを採用し、HDRや広色域再現といった新しい映像規格にも対応する。

 価格もおよそ100万円ほどと、それまで登場していた業務用機に比べてぐっと身近になっている。今後登場する機種については、2018年末にスタートする4K/8K実用放送への対応が気になるところ。そのあたりについてはまとめて後述する。

BDレコはUHD Blu-ray対応機が登場
2018年は4K/8K放送対応機も登場予定

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シャープ「BD-UT3100」

 Blu-ray Discレコーダーでは、パナソニックに続いてシャープからもUHD(4K)Blu-ray対応機が登場。UHD対応のBDプレーヤーも安価なモデルが登場し、普及に弾みを付けている。

 UHD BDは4K解像度やHDR、BT.2020の広色域といった次世代映像規格を盛り込んだ映像パッケージで、ディスクメディアならではの高い転送レートで画質的にはもっとも優れたメディア。

 今年は「シン・ゴジラ」や「君の名は。」といった大ヒットタイトルもUHD BD版を含んだ限定版が発売され、注目度も高まった。

 映画タイトルも洋画が中心であったが、2017年末には「銀魂」や「復活の日」といった国内映画の発売もスタート。ますますタイトルの充実が期待される。

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パナソニック「おうちクラウドディーガ」

 一方、BDレコーダーそのものとしては、機能的な大きなトピックは少ないのが残念。しかしながら、パナソニックは「おうちクラウドディーガ」(DMR-UBZ1030など)で、スマホとの連携を強化した。

 今までは録画した番組や放送の中継だけだったが、写真や動画、音楽のリモート再生に対応。スマホで撮った写真や動画もインターネット経由で手軽に保存できるなど、マルチメディアサーバーとしての機能を強化してきている。

 また、シャープは「BD-UT1200」などの新モデルで0.1~2倍速の音声付き早見、250倍速のなめらかな早送り再生といった特殊再生機能を強化。スロー再生も含めてトリックプレイが充実し、かつてのビデオデッキのような自在な再生が楽しめるのがユニークだ。

 2018年は4K/8K放送の録画への対応を実現したモデルが登場するものと期待される。年末には4K/8K放送録画用BDメディアの規格が決定し、準備が整いつつあるが、果たしてその登場はいつになるのかが気になるところだ。

ホームシアターではDolby AtmosやDTS:Xの普及が加速

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ソニー「HT-ST5000」

 2017年は前後左右に加えて、高さ方向の再現も可能な立体音響を実現する「Dolby Atmos」と「DTS:X」の普及が進んだ。いち早く対応を果たしたAVアンプに続き、手軽に使えるサウンドバータイプの対応モデルも登場してきている。

 今年の注目モデルは、ソニーのサウンドバーの最上位モデルの「HT-ST5000」。前面に7ch分のスピーカーを搭載し、左右の上面にトップスピーカーを内蔵。7.1.2chのDolby AtmosやDTS:X再生を可能にした。

 その音はサウンドバーの枠を超えた本格的なもの。リアルにスピーカーを配置する本格サラウンドの実現が難しいという人には見逃せないモデルとなっている。

 そして、もっと身近なモデルも大きなトピックがある。それは「DTS Virtual:X」。バーチャルサラウンド技術で、前後左右と高さ方向のサラウンドを実現する技術だ。

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ヤマハ「YAS-207」

 ヤマハの「YAS-107」と「YAS-207」でいち早く搭載し、テレビの周りに置くだけの2.1ch構成で、立体音響を実現。今までのバーチャルサラウンドとは別物と言える再現度で、後方の音までかなりリアルに再現できるようになっている。

 こうしたバーチャル技術が、本格的なサラウンドをより身近なものにしてくれることは間違いない。

 DTS Virtual:XはデノンやマランツのAVアンプでもアップデート対応が発表されており、5.1chが精一杯という環境でも立体音響が楽しめるようになる。天井へスピーカーを設置するのは無理! と諦めていた人には朗報だろう。

スマートスピーカーで家庭での音楽再生の形が変わる!?

スマートスピーカー比較
「Google Home」
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「Amazon Echo」

 オーディオ関係で一番の話題はスマートスピーカーの登場だろう。これは、音声認識技術を盛り込み、音声で自由に楽曲の検索や再生ができるもの。普及が進んでいる音楽配信サービス各社がそれぞれにスマートスピーカーを発売し、聴き放題の膨大な楽曲を手軽に楽しめるようにするものだ。

 スマートスピーカーには、「Google Home」「Amazon Echo」「LINE Clova WAVE」などが登場している。

 アップルの「HomePod」は2018年初旬の発売予定だ。このほか、ソニーやオンキヨーといったオーディオメーカーからも、スマートスピーカーが発売されている。

 膨大な楽曲を気分やアーティストなど、手頃なキーワードで検索し、スマートスピーカーで自由に再生してくれるスタイルは、カジュアルな音楽再生の形を変えてしまうかもしれない。音楽ライフがより自由なものになっていくだろう。

 個人的には、音声認識による操作性や対応する家電機器との連携といった新しい使い方には注目しているものの、肝心のオーディオ機器としては興味は薄い。

 利便性の問題が多きいのだろうが、ワンボディーでステレオ再生という形は物足りない。普及が進み、スタイルはともかく2台のスピーカーでステレオ再生ができるようなシステムが登場することにも期待したいところだ。

ヘッドフォン/イヤフォンはワイヤレスが絶好調
スマートスピーカー化も!?

ヘッドフォン
ソニー「WF-1000X」

 次は人気の高いヘッドフォン/イヤフォン。今年はなんといってもBluetoothを使ったワイヤレスモデルの爆発的なヒットが印象的だ。

 人気の高まりに応じて音質もかなり良好になり、音質にこだわる人でもワイヤレスが浸透してきている。ソニーの「WF-1000X」など、カナル型で左右までも完全に分離したタイプもなかなか音質の良いモデルが登場し、極めて快適なワイヤレス音楽視聴が楽しめるようになった。

 屋外で通勤中やちょっとした移動中に使うのはもちろん、家の中で使うときにも快適なワイヤレスはますます人気が高まるだろう。

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ボーズ「QuietComfort 35 wireless headphones II」

 また、ボーズの「QuietComfort 35 wireless headphones II」は、Googleアシスタントにいち早く対応しており、スマートスピーカー的な使い方を提案している。iOS端末のSiri連携も含めて、ワイヤレスヘッドフォン/イヤフォンとスマホでスマートスピーカー的に使うといったスタイルも今後は増えてくると予想する。

 ところで、ハイレゾ音楽の再生など有線接続で楽しむ本格的なヘッドフォンやイヤフォンも人気は不動だ。

 1万円未満のお手頃なモデルから、10万円を超えるような高級モデルまで、その数は多種多様。数万円クラスのミドルクラスモデル以上では、ケーブルの交換でより高音質なバランス接続が可能なモデルも増えてきており、かなり本格的な高音質を楽しめるようになっている。

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オーディオテクニカの「ATH-ADX5000」

 筆者が2017年で一番音のよさで驚いたのは、オーディオテクニカの「ATH-ADX5000」。価格はおよそ25万円と高価だが、ヘッドフォンとは思えない音の広がりや音場の豊かさ、緻密で情報量たっぷりの音が素晴らしい。

 スピーカーの音を聴いているような自然な音は、ヘッドフォンが苦手という人にもおすすめしたい逸品だ。

ポータブルオーディオでは
2台の人気プレーヤーが激しく火花を散らす!!

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ソニー「NW-ZX300」
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アイリバー「AK70MK II」

 ポータブルオーディオは、一時はスマホに押され気味だったが、ハイレゾ再生の高音質を武器に安定した人気となっている。

 国内や海外から数多くのプレーヤーが発売されているが、特に人気が高いのは、ソニー「ウォークマン」とアイリバー「Astell&Kern」の2大ブランド。

 普及モデルから高級モデルまで激しく火花を散らしているが、なかでもミドルクラスのソニー「NW-ZX300」とアイリバー「AK70MK II」は価格も比較的手頃ということで、まさしくガチンコ対決のムード。

 、NW-ZX300は指紋や汚れに強く、タッチ操作の感触もよいマットガラスの採用や、シンプルでわかりやすいインターフェースで操作性を向上している点が魅力。

 AK70MKIIはWi-Fi内蔵でDLNA再生も可能で、別売のCDドライブでリッピングも可能など、極めて多機能になっていることが特徴。

 どちらもバランス接続にも対応するなど、音の実力については十分優秀。音質についてはそれぞれによさがあるので、ぜひとも聴き比べてもらいたいところだ。

ピュア・オーディオの世界ではアナログターンテーブルが堅調

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パナソニック「SL-12000GR」

 ピュア・オーディオの分野では、アナログターンテーブルの復権がもはやブームではなく、安定したジャンルのひとつとして定着しつつある。

 2016年にダイレクトドライブ・モーター搭載の「SL-1200G」を発売したテクニクス(パナソニック)は、今年になって普及価格となる「SL-12000GR」を発売。

 10万円台半ばという、かつてのSL-1200シリーズに比べれば価格は高めだが、かなり手の届く価格となった。ダイレクトドライブ・モーター搭載をはじめ、その実力はSL-1200Gに迫るもので、コストパフォーマンスの高いモデルだ。

 それに続いて、2018年には放送局などでも使われた「SP-10」の後継と言えるハイエンド級アナログターンテーブルも登場の予定。おそらく手の届かない高価格になると思うが、気になるモデルではある。

 また、ヤマハもオーディオショウなどでGTの型番を継承するアナログターンテーブルを参考出展している。こちらの発売も間近だと思われるので楽しみなところだ。

4K/8K放送がはじまる2018年を占う

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すでに試験放送が開始されている8K放送

 さて、最後は来年2018年の予想だ。2018年と言えば、2月に平昌で行われる冬季五輪、夏のサッカーW杯とスポーツイベントも多い。こういう年は薄型テレビの売り上げも伸びるので、各社とも力の入ったモデルが登場する。

 と、言いたいところだが、2018年はなかなか予想が難しい。というのも12月に4K/8K放送がスタートし、薄型テレビはそれらへの対応を進める必要もあるからだ。

 気になるのは、4K/8K放送を受信するためのチューナーを内蔵するかがどうか。チューナー非内蔵ならば機能としては現行の4Kテレビと同様、来春の新モデルはこの方向になると思われる。

 現行モデルを含むチューナー非内蔵の4Kテレビは、2018年に発売される4K/8Kテレビ用チューナーを別途組み合わせて視聴することになる。

 少なくとも12月までには、4K/8Kチューナー内蔵モデルも登場するだろう。4K/8K放送をがっつりと見るならばチューナー内蔵モデルの方が使い勝手はいいので、テレビの買い換えはこうしたモデルが発売されるまで待つ方がいい。

テレビに8Kチューナーが内蔵されるかは微妙

 まずは8Kテレビだ。すでに紹介したようにシャープから8Kテレビが発売されている。そのLC-70X500は、4K/8Kチューナーは非内蔵なので、今後登場する単体チューナーを接続して視聴が可能になる。

 LC-70X500は製品の開発タイミングの都合上、HDMI入力が8K映像に非対応のため、4本のHDMIケーブルで接続する必要がある。

 だが、今後登場する8Kテレビでは8K映像の伝送にも対応したHDMI 2.1端子を備えるので、今まで通りHDMIケーブル1本で接続できるようになる。このため、シャープとしてもチューナー内蔵型の8Kテレビを来年発売することはほぼ間違いないだろうし、他社からも8Kテレビが登場する可能性はある。

 4Kテレビも4K/8K放送への対応をするはず。対応は2通りが考えられる。4Kテレビなのだから、視聴できるのは4K/8K放送のうちの4Kの番組あるいはチャンネルのみという対応。

 もうひとつは、4K、8Kのすべての番組あるいはチャンネルを視聴できるフルスペックチューナーを内蔵するという対応だ。ただし、8K放送は4Kにダウンコンバートして再生となるので、8K解像度のありがたみは少ない。

 これがなかなか悩ましい問題だ。どうせならばフルスペックチューナー内蔵がいいが、4K/8K放送のうち、8K放送を行なうチャンネルは現在のところNHKの1局のみ。

 8K放送をそのまま見られない4Kテレビでフルスペック対応をする意味があるのか? という問題だ。

 4K放送はすでにスカパー! 4Kなどでも実績があるのでチューナーの価格も比較的安価だ。しかし、8K放送は初めてのものなので8K対応となると価格が跳ね上がる。ますます、4Kテレビにフルスペック対応するメリットは薄い。

 このあたりはテレビメーカーも対応を検討しているようだが、基本的には8Kテレビは当然ながら4Kも8Kも対応のフルスペックチューナー内蔵、4Kテレビは4Kのみのチューナー内蔵として価格を抑えるのではないかと思われる。

 もちろん、プレミアム4Kテレビとして、フルスペックチューナー内蔵モデルを発売するメーカーもあるだろう。これはメーカーの考え方次第なので、来年の各社の新モデルに注目したい。

 気になる発売時期だが、基本的には放送開始に合わせて、秋から冬となると思われる。ただし、春もサッカーW杯の需要に向けた新モデルが登場する可能性は高い。最近はメーカーによって春、あるいは秋~冬に大きなラインナップの更新が行なわれることが多かったが、2018年は春と秋~冬、2回の新製品投入が行なわれるかもしれない。

放送番組の録画はできそう

 4K/8K放送について、気になる点がもう1つある。それは放送の録画だ。一時は4K/8K放送の録画は全面的に禁止という話もあったが、現代のテレビ視聴スタイルで録画禁止なんて誰も放送を見ないことに等しい。

 基本的には番組ごとに放送局側が録画禁止にするかどうかを選べるようになると思われる。つまり、映画のようなコンテンツは録画禁止だが、その他の番組は録画可能というようなスタイルになると考えていい。

 こうなると、4K/8K放送に対応したチューナー、対応した4Kまたは8Kテレビは外付けHDDなどへの録画機能を持つだろう。

 とすると、BDレコーダーはどうなるか? ちょうど原稿を書いていた12月20日にBDに4K/8K放送を録画するための仕様が発表された。1層25GB、2層50GBの録画用BD、3層100GB、4層128GBの録画用BDXLディスクで、4K/8K放送の録画が可能になる。この仕様を満たし、なおかつ4K/8K放送チューナーを内蔵したBDレコーダーで、今までの放送と同じように4K/8K放送をHDDやBD(BDXL)に録画できるようになる。

 現状のBDレコは、UHDブルーレイの再生対応や4Kアップコンバート機能など、4Kテレビへの対応が進んでいたが、肝心の録画については進化がなく、相対的に魅力薄となっていた。

 2018年のBDレコの新モデルは、4K/8K放送対応機が出ることを期待してよさそうだ。発売時期は放送用チューナーの内蔵などもあるので、放送開始時期(12月)に合わせて秋から冬になる予想する。また、4K/8K放送チューナー内蔵のBDレコがあれば、単体のチューナーを別途入手する必要もないので便利だろう。

 というわけで、2018年以降は薄型テレビ、BDレコーダーに大きな変化の波が訪れる。4K/8K放送を見るかどうかで、薄型テレビ選びも変わってくる。

 これからのテレビの買い換えはそのあたりを検討する必要がありそうだ。新しい放送がスタートする前夜は、規格の整備などを含めて不明なことも多いが、きっとさらに臨場感の豊かな映像を楽しめるようになるはず。

 今後の動向をじっくりと見極め、素敵なオーディオ&ビジュアルライフを過ごしたい。