共通することと小さな違いを使い分ける姿勢を

 同じ悩みを抱えた者同士は、みんな同じでなければならない。違うとなったら何も一緒にできない。人はそう考えてしまう傾向があります。

「小さな違い」だから乗り越えられるという考えには無理があります。反対に、「小さな違い」に目をつぶっていると気がつかないうちにストレスを溜めてしまいます。

 同じ体験をしたのですから、共通する部分があるのは紛れもない事実です。

 被災者としての共通の話題や共有できる基盤はあるのですから、そういう部分は一緒に考えたり行動したりして、つながりを深めることは大切だと思います。

 その一方で、家族の状況や仕事の状況は人それぞれ違って当然です。価値観のすべてを共有できるわけではないということも正しく認識しておく必要があるでしょう。

 共通の基盤のなかにも「小さな違い」があることを前提として、共有すべきところと個人がそれぞれ対処すべきところをほどほどに使い分けていく。こうした姿勢を持つことによって、お互いの理解が深まるのではないでしょうか。