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国際線予約システムを欧州系のクラウドに移行
ITに競争優位性を求めず、「自前」から「利用」へ:ANA

2012年5月1日
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 日本の航空会社にとって国際線のビジネスとは、昔は日本のお客様を海外に送り出し、帰ってきていただくというものでした。このビジネスモデルには限界があります。日本を起点とした往復だけでなく、海外の空港を起点としたチケットも売っていかなくてはならない。そう考えると、欧州の共通システムであるアマデウスのクラウドサービスを導入することは、長期的にも大きなメリットがあると考えています。

――目的や期待する効果は?

 狙っているのはITコストの変動費化です。

 たとえばリーマンショック後を振り返ると、国際線で、70%、80%と大幅に落ち込んだ航空会社もあります。ところが、国内線は落ち込んだとはいえ20%減くらい。何か大きなイベントリスクが発生した場合に、国際線への影響は大きくでます。

 当社では現在およそ国内線65%、国際線35%という比率ですが、国際線比率を上げて半々にしようとしています。そうなると、今よりも旅客収入の変動の影響が大きくなるので、コストの変動費化を進めることが必要になっています。

 アマデウスが提供するクラウドサービスでは、「旅客1人搭乗でいくら」という料金体系です。システムを利用して予約しても、乗らなかったら支払いは発生しない。もしまたリーマンショックのようなことがあって旅客数が減っても、その分コストが下がるのであれば合理的です。

 もう一つの大きな目的はサービスの向上です。アマデウスを共通に利用する他の航空会社とシームレスにつながることで、乗り継ぎでの(紙のチケットを使わない)eチケット化や欠航などによる振替輸送もよりスムーズになります。乗り継ぎや相互輸送によるグローバルなサービスが求められる中、非常に魅力的であり、お客様へのサービス向上につながると確信しています。

 移行作業には2011年6月に着手し、15年下期からの導入を目標に進めています。移行費用は発生しますが、年間10億円以上のコスト削減を見込んでいます。

国内線と国際線は、
システムに求められる条件が違う

――今回、国際線だけがアマデウスへ移行しますが、それはなぜでしょうか?

 国内線と国際線では、システムに求められる条件が違います。国内線までグローバルの共通システムに合わせるのは競争上難しいでしょう。たとえば国内線は、航空会社間の競争ではなく、新幹線との競争だったりします。新幹線の時刻表をにらみながらギリギリまで席を販売したり、出張需要などで、当日になってから100~200席の予約が入るなんてこともよくあります。

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