考えてもみてほしい。いまでも企業活動は15世紀に形づくられた会計基準に従っているが、商業用インターネットは登場してからまだ20年ほどしか経っていないのだ。私はインターネットなどまったく存在しない中で育ったが、それほど年寄りでもない。

 iPhoneは登場してまだ10年少々というところだが、私たちのサービスの利用の仕方をすっかり変えてしまった。そしてクラウドが、企業のITインフラ、プロフェッショナル・サービス、設備投資と運用コストなどについての考え方を根底から変えた。さまざまなデバイスが接続された新しい世界は、まったく新しい体験を私たちにもたらしている。

 この分野に詳しい証券アナリストのメアリー・ミーカーは、最近の「インターネット・トレンド・レポート」で、デジタル・ユーザーエクスペリエンス(特にスマートフォン利用)が大幅に改善されたことによってデジタル・サブスクリプションが急増していると指摘した。

 私たちはいま大きな変化の始まりに立ち会っている。次回から、サブスクリプションが変化をもたらしているさまざまな領域を見ていくことにしよう。

(本原稿は書籍『サブスクリプション』からの抜粋です)

〈バックナンバー〉
第1回 フォーチュン500に入り続けている企業の共通点とは?

ティエン・ツォ(Tien Tzuo)
Zuora創業者兼CEO
セールスフォース・ドットコムの創業期に入社し、CMO(最高マーケティング責任者)やCSO(最高戦略責任者)を歴任。同社での経験から「サブスクリプション・エコノミー」の到来をいち早く予見し、2007年にZuoraを創業しCEOに就任。Zuoraは、従来のプロダクト販売モデルからサブスクリプション・モデルへのビジネスモデル変革と収益向上を支援するSaaSプロバイダで、世界に1000社以上の顧客を持つ。2018年4月にニューヨーク証券取引所に上場。