兄が教えてくれた
インターネット時代へ

 学生だった当時、僕はもんもんとしていました。就職「超」氷河期の時代、就職活動をするにしても、何をしていいのか、分かりませんでした。ただ、普通の会社員になりたいとは思わなかった。

 そんなとき、兄の正義が「たまには飯でも食べに行かないか。ろくなものを食べてないだろう」と食事に誘ってくれました。

「ところで泰蔵、おまえは何年生になったんだ」
「今度大学4年だよ」
「もう4年か。早いなあ。進路はどうするんだ」
「うーん、何をしていいのか、分からん」
「卒業しても、ソフトバンクには入れないよ」
「こっちからお断りだよ。絶対に入らんよ!」
「なら、どうするんだ」
「……」
「だいたい、おまえは末っ子で、ぼさっとしていてだなー……」

 15歳年の離れた兄と、たわいのない話が続きましたが、次第に、兄の話に熱が帯びてきました。

「泰蔵、これからはインターネットだよ。インターネット。使ったことあるのか」

 当時といえば、インターネットはまだ一般的ではなく、ダイヤルアップ回線でインターネット接続できる環境が大学にあったぐらい。そこで僕はこう答えました。

「2、3回はあるかな。それが、どうしたん」
「泰蔵な、おまえ、とんでもないことになるぞ。インターネットの時代が来る。だから、ソフトバンクは、これからインターネットに全てシフトするんだ」

 そのころ、兄の会社は、パソコンソフトの卸売りと出版が主な事業でしたので、言ってみれば、こてこてのアナログな会社でした。ITに程遠かったのにもかかわらず、「全てシフトだ」とまで、兄は言ってのけました。

 兄は続けました。

「それで、ヤフーって知ってるか」──。

 兄はその後、ヤフージャパンの設立に向けて動きだします。もちろん、兄は公私混同を嫌う人ですから、簡単にジェリーに会わせてはくれませんでした。しかしここから、僕とジェリーとの縁がつながっていくのです。