アジャイル開発・生産を指南するシフトール(右は岩佐氏)

 アジャイルを実現する実動部隊も手に入れた。08年にパナソニックを退職してIoTデバイスベンチャーのcerevoを起業した岩佐琢磨氏らを、会社ごと“買い戻し”たのだ。cerevoから分社したシフトールに岩佐氏とメンバー27人が移籍。岩佐氏らのノウハウをぜひ欲しいとパナソニック側からの強い要請があったからこその動きだ。

 「松下幸之助が立ち上げたベンチャー企業が大企業に成長する途中で失われた、アジャイルなモノづくりの技術をよみがえらせるのがミッション。シフトールがいたからパナソニックは変わったね、と言われるのが目標」と岩佐氏。すでに前出のHomeXや、WEARSPACEの開発に参加している。

 パナソニックのあちこちで生まれた“さざ波”が、全社を覆う大波になるには、まだまだ時間がかかりそうだ。βやシフトールも、本格的なヒットが出るまでは、社内での存在感も薄い。