事実上の「移民法」とも呼べる改正入管法が成立した。「十分な議論や検証が行われていない」との問題点を指摘する声も多いが、来年4月1日の施行に向けて準備が急ピッチで進められている。成立してしまった以上、外国人との「共生」に向かって政府が早急に取り組むべき課題とは何か。(室伏政策研究室代表、政策コンサルタント 室伏謙一)
「移民法」の成立で
準備が進んでいるが…
出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律(以下「移民法」という)が臨時国会で成立したことを受けて、来年4月1日の施行に向けた所要の準備が急ピッチで進められている。
このうち、移民法の成立を前提としつつも、法案審議に先立って検討が開始されてきていたのが、移民法施行後の受け入れ環境整備のための政策集である、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」である。
7月24日の閣議決定「外国人の受入れ環境の整備に関する業務の基本方針について」を受けて、8月31日に法務大臣決定によって設置された外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会で、9月13日から検討が進められてきた。12月17日の第5回会合では案が示され、25日、移民法に基づく「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」および「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」(いわゆる分野別運用方針)の閣議決定に併せて、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議で了承され、政府の対応策として正式に決定された。
問題はその中身。126の施策番号が付され、関係各府省にその具体的かつ詳細な内容の検討と実施が割り振られているのだが、その分量や、これまでやったことがないことをやるものが多いといったことを考えると、本当に実施できるのか?と懐疑的にならざるを得ない。