>>(上)より続く

寂しがり屋の独身男性
他人の目も気になる

 対する1人旅しない派陣営のDさん(32歳男性)は独身で、結婚できないことに焦りを感じている。昨今の32歳といえばほぼ男性の平均初婚年齢に等しく焦ることなど何もないのだが、こればっかりは本人がそう思っているのだから仕方がない。

「4年間付き合っていた彼女と2年前に別れて、結婚を意識した付き合いだったのでショックが大きかったです。自分にとって初めての彼女でした。

 自分はお世辞にも見た目がいいとはいえず、『自分なんかがまた誰かと恋愛できることなんてあるのだろうか』と心配です。結婚を焦ってしまうのは『本当に結婚できるのかな』という不安があるからだと思います。

 結婚願望は人並み以上に強いです。1人で過ごすよりは、ワイワイでもダラダラでもいいので誰かと過ごす方が好きなので。家庭の安心感とか憧れます。

 自分はそんななので、1人で旅行に行くのは絶対に嫌です。それに旅先ですれ違う人から『あのブサメンおじさんは1人で旅行して寂しい男だな』という視線に晒されるかもと想像してしまい、さらに行きたくありません。もし1人旅に行かなきゃいけない羽目になったら、スーツを着てビジネスかばんを持って、出張中を装うと思います(笑)。

 まあ1人旅っていうのは自分にとってそうした恐怖を感じるものなのですが、恐怖とか以前に、1人で行くより誰かと行った方が楽しいに決まってると思うので…」(Dさん)

 知人と過ごす時間を大切に思えているというのは幸せなことである。これにはDさんの努力や人徳がおおいに関係していることであろう。

“誰かと一緒にいるのが好き”はポジティブに聞こえるが、“誰かと一緒にいないと嫌”はネガティブな響きで、Dさんにはやや後者を感じさせる危うさがある。しかし“1人で行くより複数の方が楽しい”という考え方も含めて、これらは個人の嗜好に属する領域なので一意見として腑(ふ)に落ちる。