ガソリン車からEVなど電動車主体の時代になると、旧来型のサプライヤーピラミッドの序列は崩れ、完成車メーカーよりも一次サプライヤーが上位に立つ下克上が起こり得るのだ。

トヨタの「覚悟の決断」

 そして──。ホンダとは別のアプローチで、CATLとの戦略的パートナーシップの締結に向けて、水面下で準備を進めている自動車メーカーがある。

 トヨタ自動車だ。トヨタといえば、ホンダとCATLが基本合意に至るちょうど1週間前の1月22日に、パナソニックと車載電池事業を“実質的に統合する”方針を発表したばかり。車載電池の開発、生産などあらゆる機能を統合して20年末までに設立される電池新会社には、約3500名の両者の従業員が移管される方向だ。

 新会社の事業範囲は、当面の電動車に搭載されるリチウムイオン電池だけではなく、全個体電池など次世代技術までもが含まれている。こうしたことから、長期にわたり、運命共同体としてタッグを組む覚悟を決めたと言えるだろう。

 1996年に車載電池で両社が協業して以降、今回の事業統合に至るまでには、幾多の紆余曲折があった。その過程で、パナソニックはトヨタの下請けから脱却しようと、EVメーカーの米テスラ向け取引拡大へ邁進した。

 だが、蓋を開けてみれば、トヨタ依存体質から脱却するために講じたテスラ依存が仇となった。

 テスラの米国ネバダ工場の立ち上げ遅れに伴う追加投資が尾を引いたことから、「パナソニックの電池ビジネスの投資余力に赤信号が灯るようになった」(トヨタ関係者)からだ。

 また、資金力以上に深刻だったのが、技術力の停滞だ。テスラビジネスの後始末にパナソニックの要員が割かれるようになり、新型の車載電池開発が滞るようになってしまったのだ。

 業を煮やしたトヨタが、パナソニックの電池開発のテコ入れに動いた。これが、両社が元の鞘に収まったトヨタ・パナ事業統合の真相である。電池新会社の出資比率はトヨタ側が51%と過半数を握ることになった。

 何としても日本が誇る車載電池技術を守らなくては──。危機感から誕生した日本連合には、中国・韓国メーカーの対抗勢力としての役割も期待されているはずだ。

 CATLを筆頭とする中国勢、LG化学やサムスンSDIの韓国勢は、国家という強力な後ろ盾に支えられながら、急成長を遂げているからだ。

 しかし、中・韓国勢を打ちのめす急先鋒となるはずのトヨタが、CATLとの協業に前のめりになっている。パナソニックとCATLを天秤にかける「二股調達」を画策しているのだ。