なぜか「ドミナント方式」に言及せず

 逆に、トップの“代打”を務めた野田氏が、なぜか言及しなかったポイントがある。SEJの出店戦略の説明は、

「まずは、駐車場が確保しやすいなど、一番立地への出店。すでに立地している店舗の駐車場の拡充などの活性化、そして既存店の場所を移すスクラップ・アンド・ビルトに取り組んでいます」

 というものだった。郊外や地方の店舗では、駐車場は必須で、自動車の停めやすさは、とりわけ女性や高齢者に選ばれる大きなポイントになる。

 だが、SEJ自慢の出店戦略と言えば「ドミナント方式」であるはずだ。高い売り上げを計上する店舗があれば、2店目、3店目と同じエリアに集中的に出店させる。普通に考えれば1店当たりの売り上げが下がりそうだが、これが総じて上昇するのだと、社長の古屋氏はインタビューや講演などでしばしば、誇らしく語っていたものだ。

 ところが、親会社であるセブン&アイ・ホールディングス(HD)の18年の株主総会では、株を持っているオーナーが出席し「別の加盟店オーナーにセブン‐イレブンを近くに出店され、自店の売り上げが下がった」と訴えたことがある。ドミナント方式が実際にどの程度奏功しているかは、SEJが子細を公表していないので不明だ。

 だがいずれにせよ、ここでも粗利分配方式がものを言う。加盟店1店舗の売り上げが下がっても、複数店で売り上げと粗利が確保できれば、本部の取り分は増える。一方で人件費や廃棄費用の大半は加盟店の負担であるから、やはりドミナント方式は、本部に優しく、加盟店には厳しいという側面は否定できない。

 この日の野田氏はなぜか、従来の古屋氏のように、ドミナント方式の“メリット”について言及しなかった。