さらに、「特定技能1号」の対象となる14業種のうち外食業と宿泊業に関しては、従来、これに対応する技能実習の対象職種は存在しなかった。

 そのため、これらについては、技能実習生が「特定技能1号」にスライドすることは考えられなかった。

 しかし実際には、昨年11月には、外食業に対応する「医療・福祉施設給食製造」という職種が技能実習の職種リストに追加され、その技能実習2号を修了する者は「特定技能1号」にスライドできる道が開かれた。

 昨年11月といえば国会で改正入管法が審議され、連日、技能実習生の惨状がメディアで報じられていた時期だ。まさにその時に、国会では何も議論されないまま、「特定技能1号」に備えるための技能実習制度の“拡大”が着々と進んでいたのである。

資格変更がまだでも
実習修了者を就労させる特例

「途上国への技術移転」という国際貢献が目的の技能実習制度とは整合しない新たな措置はほかにもある。

 法務省は、「技能実習2号」の修了者が、例えば、日本語能力の不足などで、「特定技能1号」へと、すぐに資格変更手続きに入れない場合、日本で「特定活動」という在留資格で働きながら待機できるという「特例措置」も打ち出した。

 その間は、以前に技能実習をしていた雇用主のもとで就労できる。

 だが、技能実習制度が、日本で学んだ技術を母国に移転させる制度であるという理念からすると、「技能実習2号」の修了者は、本来なら母国に帰国して働くことが、母国からも強く期待されるはずだ。

 しかし、日本政府は「国内実情」を優先して、技能実習生に、実習修了後に特例措置として就労を許可してでも、日本で“待機”し、「特定技能1号」に移行してもらおうというわけだ。

 既にこうした措置は、人手不足が深刻な建設分野では行われている。

 国交省は、東日本大震災からの復興とオリンピック・パラリンピック開催に向けて、2014年以降、「緊急措置」(国土交通省告示)として、技能実習修了者が建設分野の労働者として働ける措置を講じていた。