好立地に住所を置ければいいというフリーランスに人気のバーチャルオフィス

 バーチャルオフィスも通常のオフィスと同様、人気エリアがあるため、同社は、東京なら虎ノ門、麹町、日本橋などのほか、大阪、神戸、札幌、福岡など全国28カ所で店舗を展開。

 オフィスの間取りはワンルームで30平方メートル程度。オフィスビルでは雰囲気が硬過ぎるため、駅近くのSOHOビルが対象となる。とはいえ、民泊が社会問題化したこともあり、ビルオーナーが不特定多数の出入りを嫌うケースが増えた。そのため、同社は可能な限り賃貸ではなく区分所有により物件を確保している。

 BtoBがビジネスモデルの業種では、会社の信用のために市外局番(固定電話番号)が必要なケースもある。例えば卸売りなどがそうだ。逆にIT系や、はやりのユーチューバーなどは、自分も取引先も用件はほとんどメールやSNSで済ませる。

 こうしたニーズに応えるため、同社は住所だけ使いたいという人向けのプラン、電話秘書まで全てお任せのプラン、その中間の三つのプランを用意している。

 他にも、例えば東京都世田谷区で起業した人が、実際の活動拠点は都心5区ながら、法人登記は世田谷区に残しておきたいといったニーズもあるという。なぜなら、管轄税務署を変えたくない、また区外移転の登記費用が区内移転よりも高くなるといった事情があるからだ。フリーランスにとっては数万円でも大きな出費となる。

 こうしたニーズを追い風に、「近年は月間で180件程度増加しており、売り上げは数年後に確実に2倍までいくでしょう」と土本社長は自信をのぞかせる。今後もフリーランスは増えるとみられ、この分野はさらなる拡大が見込めそうだ。

写真提供:MOOR