次世代移動通信システム「5G」の米国の覇権に対する最大の脅威は、中国でも華為技術(ファーウェイ)でもない。市場をコントロールしようとする規制当局や判事だ。米連邦地方裁判所のルーシー・コー判事が21日に米半導体大手クアルコムに下した233ページに及ぶ判決文で、それが明らかになった。クアルコムとアップルは先月、クアルコムが課していた標準必須特許の使用料を巡る世界的な法廷闘争で和解した。アップルは米連邦取引委員会(FTC)に介入を要請したこともあった。FTCはオバマ前政権時代の終盤にシャーマン法(反トラスト法の中心的な法律の1つ)に基づいてクアルコムを提訴していた。FTCは、特許使用料と端末価格を連動させ(400ドルを上限に3.25%の使用料を請求)、「使用料を支払うか、チップをあきらめるか」を迫るクアルコムの慣行が競争を阻害すると判断した。スマートフォンメーカーがこの条件を拒めば、クアルコムはチップの供給を停止することができた。クアルコムはモデム市場での圧倒的な支配力を利用し、高い使用料を課してチップ市場での寡占を強めることができた。
【社説】クアルコム巡る判決の弊害
反トラスト法違反の判決は企業や5G競争を阻害
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