6年半に及ぶ第2次安倍政権において
「業績」を正面から問う初の選挙
7月21日、第25回参議院選挙が投開票された。自民党と公明党の連立与党の獲得議席は、安倍晋三首相が「勝敗ライン」とした過半数を超え、3年前の前回選挙の議席を上回った。しかし、首相の「悲願」である憲法改正の発議を可能とする、「改憲勢力で衆参両院3分の2の議席」は割り込むことになった。野党共闘は、最低限の健闘をみせたといえる。
今回の参院選の特徴は、6年半に及ぶ第2次安倍政権において、その「業績」を正面から問う初めての選挙だったことだ。これまで、安倍政権は有権者の「期待」に働きかける国政選挙を繰り返してきた(本連載第106回)。
これまで選挙のたびに金融緩和・公共事業・減税という短期的な景気浮揚策や、政府による企業への賃上げ依頼などを次々と繰り出してきたのだ。「消費税率10%への引き上げ」を、2度も先送りした。毎年のように、補正予算も組まれ続けた(第163回)。
こうなったのは、国政選挙が毎年のように頻繁に実施され、選挙と選挙の間が短かったからである。安倍政権は、前の選挙で公約した政策の成果が出るまでに、次の選挙を戦わなければならなかった。そうなると、有権者の「期待」に訴えるしかなかったのだ。
選挙が頻繁に行われたことは、国民の側にとっても問題が多かった。国民に政策を理解する時間的な猶予が与えられていない。その結果、政策の評価も短期的な観点からしかできなかったからだ(第212回)。