薬局戦争CASE2

総店舗数2万店舗、市場規模7兆円を超え、膨張を続けるドラッグストア業界。20年前は1割強にすぎなかった150坪超の大型店は今や6割を超え、店舗規模の拡大化も進む。こうした変化の主役は、郊外の大型店で勢力を伸ばす地方発祥のドラッグストアだ。その地方の雄たちは今、巨大な人口を抱える首都圏での勢力拡大をもくろみ、それが新たな業界再編の呼び水になろうとしている。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

ドラッグ業界の西の雄が
越谷で郊外大型店を計画

 埼玉県越谷市の東武鉄道伊勢崎線せんげん台駅。改札を出て西へ延びるバス通りを10分ほど歩く。

 3階建てのイオンせんげん台店に着くまでの間、通り沿いには大手ドラッグストアのカワチ薬品、富士薬品が展開するセイムスの他、複数の調剤薬局が軒を連ねていた。もちろんイオンの店内にも、イオン薬局が入居している。

 そしてそのイオンとバス通りを挟んだちょうど真向かいに、サッカーコートの半分ほどの空き地がひろがっていた。標識によれば、敷地面積は3636m2。10月1日に着工し、床面積1759m2の鉄骨平屋建てを建築するとある。

 開発者は、福岡市に本社を置くコスモス薬品――。ここはドラッグストア業界の西の雄、コスモス薬品が関東で初出店する郊外大型店の開発予定地なのだ。

コスモス薬品の開発予定地イオンせんげん台店の真正面に広がるコスモス薬品の開発予定地(埼玉県越谷市) Photo by Takeshi Shigeishi

 この地は都市再生機構(UR)のパークタウン三番街の一角にあり、1980年代に開発された団地では住民の高齢化が進む。周辺にドラッグストアが林立するのは、こうした典型的な郊外住宅地の商圏を見込んでのことであろう。

 「コスモス薬品は安売りの店ということで知っている。昔は田畑しかない地域だったが、商業施設が増えれば便利になる。オープンが楽しみだ」。イオンに毎週買い物に訪れるという70代の男性は、開発予定地を見つめながら、そう話した。