年間100億円分以上の医薬品が、期限切れのために薬局で廃棄されている。この余った薬の売り手と買い手をマッチングし、有効活用を促すのがリバイバルドラッグだ。そのユニークなビジネスモデルに注目が集まり始めた。競争戦略が専門の山田英夫・早稲田大学教授が、ビジネスモデルの見えない部分の成功要因を12のケースを基に探った新著『成功企業に潜むビジネスモデルのルール』(ダイヤモンド社、11月発売)の中から、注目すべき一事例を紹介する。
日々廃棄される膨大な量の医薬品
有効活用に乗り出した新進企業
年間100億円分以上の薬が、期限切れのために薬局で廃棄されている。患者が処方箋を持参すれば、薬局はたとえ在庫がなくても調達し、薬を提供する義務がある。しかし医薬品の納品ロットは大きいために余剰在庫が発生し、一方では使用期限があることから、多大なロスが生じていた。
リバイバルドラッグは、神奈川県を中心に8店舗を持つ調剤薬局「カバヤ薬局」の子会社であり、2003年に設立され、「リバイバルドラッグ」というサイトを2006年に立ち上げた。このサイトは薬局で余った医療用医薬品を、それを必要とする別の薬局や病院へ販売する仕組みである。
リバイバルドラッグは、“現金問屋”と呼ばれるような、余剰品を買い叩いて仕入れて売りさばく会社ではない。同社は売買の仲介をしているだけで、売り手と買い手の双方から手数料を得るビジネスである(帳簿上、委託販売と同様に在庫は売り手の薬局上にある)。売り手の薬局は、「リバイバル・ベーシック」と「リバイバル倉庫」の2つの方法が選択できる。ここに外部から見えないビジネスモデル上の成功要因がある。
「リバイバル・ベーシック」は、売り手の余剰医薬品を、売り手側が任意の金額で当サイトに掲載し、その医薬品を必要とする会員薬局が、金額・数量を確認したうえで購入するシステムである。買い手が決定してから、売り手は医薬品をリバイバルドラッグに送付し、リバイバルドラッグが買い手に送る。
一方「リバイバル倉庫」は、売り手となる会員薬局から預かった医薬品を、リバイバルドラッグで検品のうえ一時保管し、買い手となる会員薬局が必要とする医薬品を購入するシステムである。現在、リバイバルドラッグの売上の95%が、リバイバル倉庫の売上である。薬局は薬剤師法により、「調剤を拒んではならない」と定められている。1人しか服用しない薬であっても、薬局は処方箋に書かれていれば用意しなければならない。