8月21日に発表された今年3月時点での推計雇用者数は50.1万人ほど下方修正された。1カ月当たりにならせば4万人強。昨年4月から今年3月までの月間増加数の平均は約21万人だから「前月比の増加数は20%前後高過ぎたことになる」(石原哲夫・米国みずほ証券マクロストラテジスト)。月間の統計で見るより実際の伸びが鈍かったわけだ。つまり、これまでの予想より今後の消費の伸びが期待できない可能性がある。

 GDPの7割を占める個人消費への影響が出るだけに、関税引き上げ第4弾による米国経済への負の影響はこれまでより大きくなる。

米中両国経済への
下押し圧力の格差縮まる

 関税引き上げの中国経済へのマイナス圧力は続いている。8月の国家統計局の製造業PMI(購買担当者景気指数)は49.5と、4カ月連続で景気判断の分かれ目となる50を割った。しかし、49台が続いており、急速な減速感は和らいでいる。インフラ投資積み増し、ハイテク製造業への補助金増額などの対策が功を奏し始めている。

 みずほ総研は第4弾による引き上げ幅が10%の段階で、各国経済への影響を試算している。19年の米国の成長率の押し下げ幅は0.5%弱。これに対し、中国への押し下げ幅は00.6%強。15%の場合は、単純計算でいえばこの1.5倍になる。

 これまでの貿易摩擦の各種試算では、中国の成長率へのマイナス幅が米国の2倍前後というケースが多かったが、今回は大きく差が縮まっており、第4弾の米国自身への影響の大きさが見て取れる。

 とはいえ、米国は、20年度予算での歳出拡大、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げで来年にかけても1%台後半の成長は維持し、景気後退には陥らないとみられる。中国も財政・金融政策で当面は6%台の成長ペースは維持するだろう。

 それ故、今は両国とも賭け金のつり上げをやめる必然性はない。摩擦激化を嫌気した世界的な株価暴落など金融市場の大混乱が起きない限り、“ポーカー”の賭け金のつり上げ競争は終わりそうにない。