ゴールドマン・サックス・グループでは昨年、最も利益をあげていたトレーダー20人余りが職場のデスクから追い出された。拡大しているリテール(個人向け)融資部門向けのスペースを作るためだ。スニーカー姿で同部門を率いるハリット・タルワー氏はある時、こぎれいなスーツにきっちりネクタイを締めた英国人のジュリアン・ソールズベリー氏をからかった。目撃者によると、「ありがとう。僕たちが使っているカネは全部君たちが稼いでくれている」と言っていたという。ゴールドマンは、中核としてきたトレーディングおよびディール仲介事業の勢いが弱まるなか、普通預金口座・クレジットカード事業を猛然と追求してきた。しかし、その改革は金食い虫だ。大型の金融取引を扱う巨人というゴールドマンのアイデンティティーにもそぐわない。