人・組織を鍛え抜く日本電産「永守流」#8

急速にグローバル化する日本電産にとって、海外子会社をマネジメントする人材育成は喫緊の課題だ。特集「人・組織を鍛え抜く 日本電産『永守流』」(全10回)の#8では、幹部候補として育成中の外国人役員に、研修などの成果と課題を聞いた。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

ドイツの買収先企業で
永守流を貫く幹部候補生

 日本電産の永守重信会長はダイヤモンド編集部のインタビューに対し、「社員14万人のうち日本人は1万人にすぎない。どこの国の出身者がトップに立ってもおかしくない」と外国人社長が生まれる可能性を認めた。「日本電産のポリシーに共鳴してくれないといけない」という条件付きだが、この発言は、国内外の人材が切磋琢磨しなければグローバル展開を加速できないという危機感の裏返しともいえる。

 だが、一見「コテコテの日本流精神主義」のような永守流経営を外国人に理解させることはできるのだろうか。海外におけるグローバル人材の育成現場を取材した。

 日本電産の経営トップ層への登竜門になりつつある「グローバル経営大学校」への参加を認められるなど、頭角を現しているのがドイツのNGPMでCFO(最高財務責任者)を務めるアクセル・フォン・バウアー氏だ。

 NGPMは、2015年に買収した車載用ポンプメーカー、ゲレーテ・ウント・プンペンバウが母体。ドイツの本社を訪ねると、永守氏が揮毫した「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」という日本電産の三大精神の一つの書が飾られていた。おまけにフォン・バウアー氏のネクタイはコーポレートカラーの緑に染め抜かれている。

 押しの強さに若干戸惑いつつインタビューを始めると、日本電産の外国人幹部は採用段階から永守流に適合できるかどうか吟味されていることを強く感じた。

グローバル幹部集合
日本電産が京都府で開いたグローバル経営大学校で2019年1月18日、修了証を持つ参加者ら。前列中央が吉本浩之社長、後列左から3番目がフォン・バウアー氏 写真提供:日本電産

 フォン・バウアー氏の場合、入社前のキャリアだけでも、永守氏との相性の良さが容易に推し量れる。

 詳しくは後半のインタビュー記事に譲るが、ドイツ陸軍出身の同氏は用意周到な研修制度や部下への徹底指導を重視してきた。ニデックウェイについての社員教育やマイクロマネジメントによる厳しい指導といった永守流の人材育成の考え方とぴったり一致するのだ。