高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役から関西電力の役員らが3.2億円相当の金品を受け取っていた問題。特集「関西電力 炎上!」(全5回)の#02では、原発マネーが還流したカラクリを大解剖し、関電が炎上したポイントなどをおさらいする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
発端は金沢国税局の税務調査
スクープで世にさらされた
“炎上”のきっかけは、共同通信のスクープだった。
共同通信は9月26日夜、関西電力の八木誠会長(10月9日付で辞任)や岩根茂樹社長ら役員が、高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から金品を受領していたと報じるスクープを加盟各社に配信した。
事の発端は2018年初旬、金沢国税局が森山氏、森山氏が顧問を務める建設会社の吉田開発、そして関電に行った税務調査である。この内容を共同通信が特報したため、世にさらされたのだ。
関電、吉田開発、森山氏の
“高浜トライアングル”でグルグル回る原発マネー
金沢国税局の税務調査で判明したのは、関電、吉田開発、森山氏の“高浜トライアングル”で原発マネーがグルグル回っていたことだ。
構図はこうだ。
まずは、関電が吉田開発に原発関連工事を発注する形で金を落とす。次に、吉田開発は顧問を務める森山氏に手数料の名目で現金を支払う。
森山氏はその現金を、あるときはそのまま現金で、あるときは商品券、小判型金貨、高級スーツ、米ドル札に形を変えて関電役員らに渡していた。
そもそも、なぜ吉田開発は森山氏に手数料を支払う必要があったのか。
森山氏は高浜町に原発を誘致した功労者として、地元で“天皇”と呼ばれるほど大きな影響力を持っていた。関電も森山氏を地元の利害調整を行う重要人物と捉え、定期的に面談の機会を設けていた。
その面談で森山氏は原発関連工事の情報を入手したり、時には吉田開発の担当者を引き合わせたりしていた。手数料は森山氏のそういった便宜に対するものだったのだろう。