関西電力 炎上!#04Photo:adventtr/gettyimages

関西電力の原発マネー還流問題で、関電は「不適切だが違法性はない」と判断した。しかし、司法リスクは存在している。特集「関西電力 炎上!」(全5回)の#04では、関電を脅かす四つの“司法爆弾”について、元東京地検検事の郷原信郎弁護士の解説を中心に解き明かす。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

贈収賄罪の疑いあり!
元東京地検検事が解説

「不適切ではあるが違法性はないと判断した」。関西電力の岩根茂樹社長は10月2日の記者会見でこう断言した。高浜原子力発電所がある福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から関電の役員ら20人が金品を受領していた問題は、本当に違法性がないのか。

 関電は森山氏が顧問を務める建設会社の吉田開発に原発関連工事を発注し、森山氏は吉田開発から手数料の名目で資金を受け取り、そして森山氏は関電の役員らに金品を渡していた。

 原発マネーが還流する構図は、森山氏が関電の役員らに対して何らかの見返りを求めて金品を渡し、役員らはこれを承諾して吉田開発に工事を発注していたように見える。

 いわゆる、贈収賄罪である。関電の役員らは公務員ではないため、適用されるのは会社法967条の「取締役等の贈収賄罪」だ。

 これについて、岩根社長は冒頭の通り、違法性はなかったとしている。関電は社内調査報告書をまとめるに当たって法律のプロ、大阪地方検察庁OBの小林敬弁護士らの協力を仰いでおり、この判断に自信を持っているのだろう。

 しかし、担当する裁判官によって司法判断が変わるように、見方を変えれば違法性があると指摘するプロもいる。元東京地検検事の郷原信郎弁護士は「今回のケースは会社法の贈収賄罪に当たり得るし、それを捜査する余地は十分にある」と分析する。