国内電力業界2位で西日本の雄、そして関西経済界を代表する企業である関西電力が“炎上”している。
高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役から、関電の役員ら20人が長年にわたって少なくとも3.2億円相当に及ぶ金品を受け取っていたことが発覚した。
元助役は関電から原発関連工事を受注した建設業者から手数料の名目で資金を受け取っていた。つまり、関電から建設業者、建設業者から元助役、そして元助役から関電へと“原発マネー”が還流していた可能性がある。
この原発マネー還流問題を巡って、関電はガバナンス(統治・統制)もコンプライアンス(法令順守)も欠如していたことが明らかになった。しかも対応が後手に回って八木誠会長、岩根茂樹社長が辞任に追い込まれる事態にまで発展した。
影響は関電だけにとどまらない。
2011年の東日本大震災で起きた東京電力福島第一原発事故により原発の“安全神話”が崩壊した。業界の盟主である東電が凋落し、その後の日本の原子力事業をけん引してきたのは、他ならぬ関電だった。その関電で再び原発への信頼を失う驚愕の事実があらわになった。
関電の“炎上”は、関電のみならず、日本のエネルギー政策をも燃やし尽くすかもしれない。
関電、電力業界、日本のエネルギー政策は灰と化すのか。本特集「関西電力 炎上!」は10月21日(月)からお届けする。最終回配信の10月25日(金)まで全5回の連載を予定している。
#01 10月21日(月)配信
関電事件でOBが新証言、
森山元助役に「幹部は口座番号を伝えていた」
「事実上のキックバックを受け取る振込先の口座番号を伝えていた」。関西電力の現役社員とOBが、関電と高浜町の“天皇”と称された元助役の森山栄治氏(故人)、森山氏が顧問を務めた建設業者、吉田開発との“黒い関係“を生々しく証言した。
#02 10月22日(火)配信
関電原発マネー還流問題を大解剖!
発注が現金と小判、スーツに変わるまで
関西電力を“炎上”させた原発マネー還流問題。事の発端は国税当局による税務調査だった。問題が発覚してからの関電のお粗末な対応、八木誠会長や岩根茂樹社長が辞任に追い込まれた経緯などを超簡単解説でおさらいする。
#03 10月23日(水)配信
「関電崩壊」悪夢のシナリオ、
原発全停止で迫る巨額赤字リスク
電力業界の中でも原子力発電所への依存度が高い関西電力。原発マネー還流問題で、関電の収益改善の柱であった原発が極めて厳しい状況に追い込まれるのは必至。関電に迫る崩壊シナリオを徹底分析する。
#04 10月24日(木)配信
関電への強制捜査「Xデー」は年明け?
4つの“司法爆弾”がさく裂する
原発マネー還流問題で、関西電力がまとめた社内調査報告書では「不適切だが違法性はない」とした。しかし、会社法や独占禁止法に違反したとして刑事事件に発展する可能性は小さくない。東京地検の元検事である郷原信郎弁護士の解説を中心に、関電に忍び寄る司法リスクを読み解く。
#05 10月25日(金)配信
関電ショックが引き金に、
全電力会社を巻き込む「原発再編」の現実味
東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故を機に、電力業界は今後の原発運営は「1社で抱え切れない」として再編を見据えていた。その再編の軸になるのが関西電力だった。その関電が原発マネー還流問題を抱えたことで原発再編は止まるのか。原発は日本から消えるのか――。
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