中国の7-9月期の実質経済成長率は6.0%と、1992年以降の最低を記録した。これは一大事だろうか。イエスともノーともいえる。この実質経済成長率は中国経済の本格的な低迷ぶりを映し出している。さらに大きいのは、まだおぼつかない景気回復を促そうと、政策当局が財政・金融政策の緩和に動くことだ。景気回復は与信の伸びから始まる。この中国経済の方向性を最もよく表す唯一の兆しは、昨年終盤に底入れし、弱々しいながらも伸びている。程度の差こそあれ、融資の伸びが不動産、インフラ(社会基盤)、製造業の投資てこ入れに貢献した。とはいっても、製造業はまだ極度の低迷状態にあるが。工業利益にも底入れの兆しがみられる。これでゆくゆくは労働市場を覆っている不透明感が晴れそうだ。雇用情勢が利益と投資に追随しがちな点を踏まえると意外でもない。製造業の購買担当者雇用指数はまだ悪化の一途をたどっているが、そのペースは今年半ばから和らいでいる。