巣鴨と世田谷学園で火が付いた
首都圏の中学一般入試は1月の埼玉と千葉の私立校から始まる。ここで合格することで自信と安心感を得てから、2月1日解禁の東京と神奈川の入試に臨むことになる。
中学受験は算数で決まるという要素は強い。関西では灘がその典型で、2日間にわたり算数を課しているほどだ。算数の得意な受験生は有利なのだ。
中学受験は小6生には過酷な闘いである。できるだけ早く志望校への合格を決めて解放されたいというのが偽りのない子どもの気持ちだろう。午後3時くらいから行われる午後入試は、より早い合格獲得の手段として広まっている。国数など2科が多かった午後入試が算数1科、もしくは国・算や英・国・算からの選択へと流れる傾向もうかがえる。
2019年入試では、2月1日午後に算数1科入試を導入した東京の2つの男子校が多くの受験生を集めて話題となった。1日午前の御三家を筆頭とする最難関校の併願校として、巣鴨は470人以上の、世田谷学園は400人近くの受験生が押し寄せている。
この算数1科入試を最初に導入したのは攻玉社で、1994年のことという。高輪は2002年から、鎌倉学園もそれに次いで取り入れている。いずれも男子校だ。
算数1科入試は、文章題中心で、理科や社会との融合的な問題や記述式の問題が出されるなど、作問にひと手間かける傾向がある。例えば、日本大の付属校として人気校になった目黒日本大学では「数理入試」として、算数と理科の合教科型の入試を行う。思考力や論理的な説明力が問えるからでもある。高校で理数探究の授業が始まるが、こうした能力を算数で端的に問おうとしているのだ。
算数1科入試には優秀な生徒の確保という目的もある。例えば、明星のAS算数特化型入試はMGS(Meisei Global Science)クラスの募集で使われている。