特集「トヨタ、ホンダ 、日産 自動車の最終決断」(全9回)の5は、車載(自動車)事業を手がけている自動車部品・電子部品メーカー274社の「生き残り力」ランキングをお届けする。自動車部品業界では今年度に入って突如、再編の機運が高まっているが、大変革期を乗り切るための条件とは何か。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
来たるべき時がようやくきたということなのか――。デンソーによる愛三工業へのパワートレイン事業の一部譲渡と、愛三工業の株式のトヨタ自動車からの買い上げ検討。日立製作所とホンダによる、傘下の部品子会社4社の統合。アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュという、二つのアイシンの合併――。自動車部品業界では、今年度に入って突如、再編案件が噴き出している。
「100年に1度の大変革の時代に直面しているため」。実はこの3件、再編の背景として判を押したように同じ理由を上げている。
事実、自動車業界には今、大変革の波が押し寄せている。世間では、クルマをハードウエアとしてではなく、移動のためのモビリティという“サービス業態”として捉えるMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)なる概念が登場。クルマの価値が根底から覆りそうな状況の中、これまで自動車ビジネスに一線を画していた企業までもが続々参入してきているのだ。
例えば米グーグルなどのITジャイアントや中国DiDiなどのITベンチャー、ソニーといった電機業界のメガプレーヤーもまたしかりだ。
こうした新旧のプレイヤーが入り乱れて戦う激烈な環境下で、相次いで勃発した冒頭のような自動車部品業界の再編は、これから日本の自動車産業全体で行われようとしている大きな“リストラ劇”のほんの序章でしかない。