一方、液体ミルクは、容器を開けて哺乳瓶に移し替えれば、そのまま赤ちゃんに飲ませることができるとあって便利だ。
多発する自然災害を受け、10月25日には、内閣府と厚生労働省から各自治体に、液体ミルクの備蓄を含む災害時の授乳環境整備等を進めるよう要請があった。
海外では、1970年代にフィンランドで発売されて以降、液体ミルクは広く普及している。しかし、日本では今年の3月にようやく発売となった。
日本での導入が遅れた理由は、法整備がされていなかったという点に尽きる。液体ミルクは「調整液状乳」という規格になるが、日本にはそもそもこの規格が存在しなかった。
台風19号襲来の直前に売り上げは2~3倍
利用者からは「多様なサイズ」などの要望も
18年8月に調整液状乳に関連した法律が制定されて以降、大手メーカーの明治とグリコが液体ミルクの販売に参入した。2社の商品はパッケージや内容量がそれぞれ異なる。
明治はパッケージにスチール缶を使用している。「缶は賞味期限が長い。全国50前後の自治体で、備蓄品として購入されている。寒冷地では、缶のままカイロで温めている事例もある」(明治マーケティング本部の田中伸一郎氏)と明かす。台風19号の直前には通常の2~3倍売れたそうだ。