ミドル起業家Photo:z_wei/gettyimages

今、30~40代の中年層によるベンチャー起業が流行している。テクノロジーがレガシー産業にも浸透してくる中で、ミドル層が持つ社会人スキルと業界経験が必要とされているからだ。そこで、特集「スタートアップ4.0 第4次ベンチャーブームは『本物』か?」の第6回では、社会人スキルと経験を活かして成功している二人のミドル起業家を取り上げる。

「週刊ダイヤモンド」2019年4月6日号の第1特集を基に再編集。肩書や数字など情報は雑誌掲載時のもの

助太刀社長・CEO我妻陽一氏
電気工事会社で経験を積み39歳で起業

ミドル起業がはやる理由、遅れてきた「76世代」がブームを底上げ「建設というレガシー産業を、スケール感のあるベンチャーの力で再定義します」
我妻陽一(助太刀 社長・CEO) Photo by A.Y.

 我妻陽一氏はその日、同級生との卒業パーティーに興じていた。ところが、「乾杯!」と言った瞬間から、携帯電話が鳴りやむことはなかった。プログラミングスクールG's ACADEMYの卒業ピッチで優勝を収め、プレゼンを見ていた投資家から問い合わせが殺到したのだ。飲む間もなく対応に追われる中、気付いたときにはビールの泡がすっかり消え、閉店までに飲めたのはジョッキの3分の1だけだった。

 何を隠そう我妻氏はこのとき既に39歳。若手起業家が主流の中にあって、異質ともいえる存在だ。

 我妻氏は、もともと大手電気工事会社で施工管理の仕事をしており、自身でも電気工事会社を10年ほど経営していた。

 だが、建設業界における「下請け」構造の問題を解決しようと一念発起、立教大学のMBAコースに通ってビジネスを学び、さらにはプログラミングスクールで技術を一から習得した。