パナソニック 老衰危機_#01_背水の新モデル

パナソニックは“賭け”に負けた。家電の次の本業候補として投資を集中させた自動車事業が失速。今度は母屋の家電事業まで低迷し、構造改革が急務な状況にある。そこで、津賀一宏・パナソニック社長は、伏魔殿化した家電部門に解体的出直しを迫る「背水の新モデル」を繰り出そうとしている。(ダイヤモンド編集部 新井美江子、浅島亮子)

新設されたCNA社の
“裏ミッション”とは

 2019年4月に産声を上げたパナソニックの地域カンパニー、中国・北東アジア(CNA)社。次期社長の最右翼と目される本間哲朗・パナソニック専務執行役員が社長を務める、社内でもっとも勢いのあるカンパニーである。

 本間専務はCNA社設立の狙いについて、「パナソニックの中国での売上高が、中国のGDP成長率に見合った伸びを示していないという問題を解決するため」と淡々と語っている。本間専務自身は中国語が堪能で、「現地でのプレゼンテーション聞いて驚いた」(パナソニック社員)というほどの腕前だ。中国ビジネスを躍進させる立役者として登用されたのは間違いないだろう。

 だが、CNA社を中国攻略のためだけに設けられた地域統括拠点と位置付けるのは、あくまでも表向きの説明だ。

 実は、CNA社には“裏ミッション”が課されている。端的にいえば、パナソニックの保守本流であり、伏魔殿と化している家電部門(アプライアンス〈AP〉社)の“解体”だ。

 実際に、経営の中枢に身を置くある役員は「家電のライバルが中国などの海外メーカーに変わりつつある中では、強かった白物家電ですら今のビジネスモデルの延長線上では競争に勝てなくなる」と危機感を募らせる。

 そして現在、パナソニック上層部では、検討事項として家電部門の本拠地を日本から中国へ移すこと、つまり家電部門の「中国本社」移転計画まで俎上に載せられているというのだから驚きだ。

 他ならぬ津賀一宏・パナソニック社長が、「家電部門の本社を日本から中国へ移転する計画なのか」というダイヤモンド編集部の問いに対して、「もちろん、そういうことも視野に入れている。ヘッドクオーター(本社)の中国への移管は一つの考え方です」と認めている。

 家電部門の解体と本社移転。あまり穏やかな話とは言えないが、一体どういうことなのか。