外食王の野望_一瀬邦夫Photo by Rumi Soma

店のコンセプトから料理の1皿に至るまで、外食産業の経営者は消費者の心をつかむスペシャリストだ。個性派ぞろいの「外食王」たちは何を考えているのか。連載「外食王の野望」で取り上げる外食トップのインタビューを通じ、そのノウハウをおいしくいただこう。今回は、ペッパーフードサービスの創業社長、一瀬邦夫氏を直撃した。自社店舗同士の競合で、いきなり!ステーキの既存店売上高が大きく前年割れしている。店舗の急拡大を指揮した一瀬社長は今、何を考えているのか。

「週刊ダイヤモンド」2020年1月11日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

「いきなり!ステーキ」が苦戦
国内店舗数397店は適正水準なのか

――「いきなり!ステーキ」が苦戦しています。2019年12月期の中間決算で、今後は自社競合を避けると説明しました。

 17年に秋田県に出店して、全都道府県を制覇しました。当時、あるパーティーですごく高揚感もあって、壇上から「来年は200店出すぞ」と言った。皆がざわついたね。それで、結果的に18年は202店出したわけです。

 そして19年は、「210店出そう」と宣言したの。そしたら、2、3月ごろから、待てよ、売り上げに影響が出てくるかもしれないな、と(気が付いた)。

 分析したら、自社競合していたと分かりました。そこからは慎重に出店しましたが、それでも19年は115店ぐらい出しているから。すごいでしょ。東京、大阪、名古屋のお店は、そうひどい落ち込みではありません。