葛原 守壱番屋代表取締役社長Photo by Koyo Yamamoto

店のコンセプトから料理の1皿に至るまで、外食産業の経営者は消費者の心をつかむスペシャリストだ。個性派ぞろいの「外食王」たちは何を考えているのか。連載『外食王の野望』で取り上げる外食トップのインタビューを通じ、そのノウハウをおいしくいただこう。今回はCoCo壱番屋を運営する壱番屋の葛原守社長。値上げしても客離れしないと同業他社の間で話題。その訳に迫った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本興陽)

海外でローカライズはしない
インドでもココイチのカレーを提供する

──2020年はカレーの本場、インドに進出します。

 われわれが本格的に海外展開しようと決めたのは03年。04年に中国・上海に1号店を出しました。それ以来、日本のカレー文化を世界に広めようと海外展開に取り組んでいます。

 これまでさまざまな国に約180店舗を展開してきました。ですが、実は一回も現地のマーケットリサーチをしたことがないんです。

 現地の人に事前にカレーを試食してもらい、意見を聞くといったことはしません。開店後、現地の人から「味を変えた方が良いよ」と言われても、変えたことはないんです。

 われわれにできる精いっぱいの日本式のカレーを作り、提供する。その軸は絶対に動かしません。

 それに、「これが日本のカレーだ。CoCo壱番屋のカレーだ」という商品を提供して、駄目だったら諦めがつくじゃないですか。こうした思いでずっと今まで海外事業をやってきました。

 タイに進出した際、「タイ人にはタイカレーが合う」「ココイチのカレーは受け入れられるのか」などと、多くの意見を頂きました。タイカレーは、ココナツやインディカ米を使用し、スープ系。日本のカレーとは全く異なります。ですが、今やタイの店舗数は30近く。日本のカレーも、別のカレーとして受け入れてもらえています。

 これは進出予定のインドでも同じです。われわれがインドでインドカレーをやっても何の意味もない。行く意味がなくなってしまいます。これからも海外ではローカライズせずに戦っていきます。