アップルの呪縛 日の丸液晶JDI_PART1_JDI主力工場を宿敵シャープが買収へPhoto:REUTERS/AFLO

液晶大手のジャパンディスプレイ(JDI)が独立系投資ファンドのいちごアセットマネジメントの支援を受け入れることで基本合意し、経営再建が動きだした。主力の白山工場(石川県白山市)をシャープに売却する交渉はその最初の一歩だ。そこには、米アップルの驚くべき深謀遠慮があった。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

iPhone液晶400万台分の大量発注
JDIの裏でアップルがシャープと密約

 2019年12月初旬の某日、東京・新橋の本社でJDIのある幹部は、液晶の最大顧客である米アップルから打診されたある唐突な提案に困惑していた。

 「白山工場を買い取りたい」

 JDIの主力拠点である白山工場は、アップルの要請で15年に建設を決めた「iPhone」用液晶の量産工場だ。16年12月に稼働したが、翌17年にアップルがiPhoneのディスプレーに有機ELを採用したことで液晶の需要が落ち込み、19年7月から稼働を停止している。

 アップルの要請で工場を建設しながら、アップルの都合で稼働を停止する理不尽。まさにアップルに翻弄されるJDIの苦悩を凝縮した工場だ。