1年で最も売れる「週刊ダイヤモンド」年末年始の恒例企画をオンラインで同時展開するスペシャル特集「総予測2020」。ダイヤモンド編集部が総力を挙げて、多くの識者や経営者に取材を敢行。「2020年の羅針盤」となる特集をお届けする。今回は、特集の恒例企画となりつつある(?)記者座談会をお届けする。
浅島亮子デスク 総予測特集の締め切りも終盤戦。特集の恒例企画となりつつある(?)記者座談会を始めます。皆さんの担当業界で、これだけは押さえておきたい「2020年のトピック」について教えてください。
【トピック1】
ポスト五輪のインバウンド
「底上げ」作戦
浅島D いよいよ20年夏に東京五輪が開催されるね。インバウンド(訪日外国人観光客)の動きはどうなると見ている?
柳澤里佳記者(運輸・ホテル担当) もはや運輸・ホテル業界の関心は、五輪商戦よりも「ポスト五輪商戦」へと移っています。
政府は18年に3119万人だったインバウンドを「30年に6000万人にする」という野心的な目標を掲げています。“宴の後”の落ち込みや、日韓関係の悪化による韓国人観光客の伸び悩みをカバーしようと、業界を挙げて底上げ策に躍起になっているのです。
19年12月には、突如として菅義偉官房長官が「高級ホテルを50カ所新設する」と表明。財政投融資を活用した建設支援策に乗り出しました。
浅島D 突発的な目標にしては、計画の中身がやけに具体的だね。
柳澤記者 そうなんです。確かに、日本には世界の一流ホテルが少ないことから、外国人富裕層の受け入れ態勢が問題視されてきたのは事実です。今回の対象は定かではありませんが、外資ホテルチェーンのみならず、星野リゾートなど国内企業も本命に含まれているのではないでしょうか。
浅島D 結局、「30年に6000万人」は達成できるの?
柳澤記者 私は達成できるとみています。というのも、20年はインバウンド獲得プロジェクトがめじろ押しなのです。20年3月から羽田空港の国際線発着枠が50便も増えて、発着便数が1.6倍になります。同月には沖縄県の那覇空港の第2滑走路の建設が終わる予定。首都と人気観光地の玄関空港が同時にオープンするのです。
浅島D そして、インバウンド獲得の“最後の切り札”が「IR(統合型リゾート)」なのかな。
柳澤記者 国が建設を認定するのは「最大3枠」。土壇場になって姿勢を翻した北海道を除き、大阪府・大阪市、横浜市など7地域による激しい戦いになりそうです。
【キーワード解説①】
IR(統合型リゾート)/カジノの他、ホテルや国際会議場、商業施設などが集まった複合的な観光施設。認定される自治体の上限は三つで、認定時期は2021年後半以降となる見通し