ディープテックで行こう!素材企業編
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コンピューター、ロボット、ライフサイエンス――こういった分野の変化を支えるのが素材だ。日本が競争力を維持できている分野でもある。そこで特集「ディープテックで行こう!」(全14回)では、#12~13の2回にわたって、「素材」分野で注目の「ディープテック」を紹介する。#12は同分野の注目ベンチャー4社をお届けする。

「週刊ダイヤモンド」2019年10月26日号第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

素材 注目ベンチャー企業1
【Kyulux(キューラックス)】
サムスンがほれた最強の有機EL材料

 Samsung Galaxy S10
Kyuluxの技術で、サムスン電子の競争力はさらに増す? Photo SOPA Image/gettyimages

 九州大学発ベンチャーのKyuluxはTADF(熱活性化遅延蛍光)を使った新技術が強み。従来より効率よく、鮮明な色を実現できる次世代(第4世代)有機EL発光材料を開発した。韓国のサムスン電子やLG電子からも出資を受け、2020年中にも両社製品に採用される見通しだ。

 液晶と違い、有機ELは素材自体が光るため、バックライトが不要。だがこれまでの発光素材には代々課題があった。第1世代は蛍光材料を使ったが、電力の25%しか光に変換できず非効率。第2世代はレアメタルであるリン光材料を使った。高価で、青色に光るリン光材料が実用化できておらず、蛍光材料を併用して欠点を補っている。第3世代のTADFはレアメタルを用いず安価、高効率でもある。だが周辺の色も発光してしまい色の鮮明さに欠けることと、寿命が短いことが弱点だった。

 Kyuluxは蛍光材料とTADFを組み合わせたハイパーフロレッセンスという技術を開発。レアメタルを使用せず低コストな上、高効率かつ高発色を可能にした。エレクトロニクスのガリバーがほれる技術を持つ同社は、21年以降に米ナスダック市場への上場を計画している。